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某泥棒三世を愛する管理人による日々語り。腐的内容を含むことがあるので、ご注意ください。
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11.15.15:26

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  • 11/15/15:26

01.21.02:07

コラボさせていただきました3

すっかり遅くなってしまって申し訳ありません!(スライディング土下座
いつもお世話になっております由美恵さんとのコラボです。
先日の次ル怪我イラストのルパン様怪我VerにもSSをつけさせていただきました!
素敵なイラストをお預かりしておきながら大変お待たせをしてしまって本当に本当に申し訳ありません~~~~~(ノД`)・゜・。

少しでもお楽しみいただけたら幸いですっ…!

●次ル
●怪我ネタ

OKでしたら追記へどうぞ
いつもぱちぱちありがとうございます!!










 ドアが開いた音がした途端に、ぷんと鼻をつく血と硝煙の匂いがした。昨夜から何も言わずに出掛けていた相棒が帰ってきたのだ。

(やれやれ…)

 コンロの上で湯気を立てる鍋をお玉でかきまわしながら、その気配に次元は小さく嘆息した。

(心配ばっかかけやがって馬鹿野郎が)

 次元には独りで行動するなとか面倒事にばかり巻き込まれてなどと毎回小言を言うくせに、ルパンだって同じぐらいかそれ以上に厄介ごとにばかり首を突っ込みたがるのだ。そのくせ心配させるなという次元の小言なんか、最初から聞く耳を持たないのだから厄介にも程がある。
 今回はまた厄介ごとにも程があるほど厄介事だったようだ。部屋の中に漂う濃い匂いから察するに、ルパン自身も手酷くやられているのは間違いないだろう。背後に近づいてくる重い足音を感じながら、次元はさてどうしたものかと思案する。
 こう言う場合のルパンは普段に輪を掛けて酷く面倒臭い。というのも、仕事の後のハイテンションで手も付けられないほど弾けているか、それとも落ち込むに任せて荒れに荒れているか、どちらにせよ、次元の手には追えないほど扱いづらいのだ。

(今日はどっちだ?)

 背後に迫る気配を読みかねて気づかぬふりをしながらくるくると鍋を掻きまわし続ける。と。

「うお!?」

 突然近づいてきた気配が背後から抱き付いてきて、次元は比喩でなく飛び上がった。

「おい、あぶねえだろうが火傷でもしたらどうしてくれる」

 首元に鼻先を埋めてくるルパン。その横顔に思わずいつもの調子で声を上げてから、『しまった。やらかしたか?』と一瞬ひやりと肝を冷やす。ただでさえ扱いづらいルパンの機嫌を損ねれば、一体どうなるかは、長い付き合いの中でもまだすべて把握しきったわけではないのだ。
 だがどうやら、今回そんな次元の心配は杞憂に終わったらしい。おちゃらけた声色で軽い調子のジョークが返ってくるでもなく、はたまた殺気を纏って怒声が返ってくるでもなく。ルパンは黙ったまま次元の背中に抱き付いているだけだ。

(やれやれ…こいつはどうしたもんかな…)

 今までにないルパンの様子に、次元は肩透かしを食った気分。ぼーっと馬鹿みたいに突っ立って考えあぐねていても仕方がない。とりあえず鍋に蓋をしてコンロの火を止め、次元は器用にルパンの腕の中で振り向いた。
 すり傷だらけの顔や手足。ボロボロにほつれ汚れたスーツ。赤いジャケットを更に赤黒く汚しているそれは返り血だけではないだろう。

「怪我、してんだろ?」

 ん? とその顔を無理やり引き上げて覗き込めば、ようやくルパンはぼんやりとした顔で次元を見詰めてきた。

「ほら」

 手を引いてソファに座らせ促して汚れた服を全部脱がせた。脇腹に少し大き目の血のにじんだ傷が出来ていた。だが服についた血の様子から察していたほど傷は深くない。綺麗に傷口を洗って消毒をし、ガーゼを当てた。他にも身体中に小さな傷が出来ている。それも全て丁寧に手当てをして包帯を巻いていくが、その間もルパンは時折痛そうに顔をしかめるものの終始無言で、大人しくされるがままになっていた。

「…やけに大人しいんだな? 今日は」

 手当を全て終えそれでも何も言わないルパンに次元が不審な目をむけると。

「んー?」

 そこでようやくルパンが声を上げた。少し小首を傾げるようにして次元を見詰めると、何を思ったのか。

「ただいま」

 にぱっと満面の笑みで、いきなりそんなことを口にした。
 突然のことに次元は虚を突かれた形になり、ぽかんと馬鹿みたいな顔でルパンを見詰め返し、どもりながら「お…おかえり」と返すしかできなかった。

 たった。

 たったそれだけなのに、なんとなくそれで全てが解決したような気分になってしまって、次元はむすりと押し黙る。帰って来たら文句の一つも小言の一つも浴びせてやろうと思っていたのに。ずっと心配して待っていたんだと怒ってやろうと思っていたのに。全てを見透かされて先手を打たれてしまったような、そんな気分。

「なあ次元」
「なんだよ?」

 釈然としないままとりあえず救急箱を片付けていた次元が顔を上げると。

「眠い。俺、寝るから一緒に寝ようぜ」
「は?」

 突然、立ちあがったルパンに手を引かれた。救急箱も放り出し、成すがままに立ちあがって手を引かれるままに後を追う。拒否することなどいくらでもできたが、なぜか次元は黙ってルパンに従った。
 ぺたりぺたりと板張りの床を踏む裸足の足が冷たそうだ。寝室へと前を歩く白い背中を見詰めながら、次元は場違いにぼんやりとそんなことを考えていた。
 薄暗がりの寝室へ。電気も付けず手を引かれたままベッドにもつれ込む。

「…なんだよ。ヤんのか?」
「誰がヤるか。馬鹿。俺、怪我人だぞ?」

 いきなりベッドの上に押し倒されて腹も立ったので、その腰を抱きかかえて思わず次元が問えば、即座にぺしっと鼻先を叩かれた。だがそう言いながらも相変わらずルパンは次元の上に圧し掛かり、抱き枕よろしくその体に抱き付いてくるではないか。

「ほほう。この俺に大人しくただの抱き枕になれってのか」
「寒いからさ」
「服着りゃいいだろうが」
「だって包帯とかガーゼとか引っかかって痛ぇんだもん」

 口の減らないことだ。そう思いながらも次元は言われるがままに好きにさせる。逆らったところで仕方がないのだ。
 そのうち心地良さそうに頬を摺り寄せていたルパンは、本当に疲れていたのだろう。ものの数分もしないうちに深い寝息を立て始めた。

「…ったくよぉ…俺を何だと思ってるんだか」

 人を枕にして寝息を立てる相棒を起こさぬようにしながら、ベッドサイドに置いてあった煙草をを引きよせて火を点けた。溜息とも苦笑ともつかない吐息と共に吐き出した紫煙はゆらゆらと棚引いて消えていく。
 結局この男にはどんなことをしても敵わないし、いつまでもこうやって翻弄されていくのだろう。

「でもまあ」

 それもいいか。お前さんが生きててくれるんならそれで。
 幼子のように眠る男の耳元で小さく笑い、次元はそっと相棒の細い身体を抱き寄せた。




どっちが甘えてるんだかわかりゃしない2人が大好きです。
由美恵さん素敵なイラストを本当にありがとうございました!
機会がありましたらまたぜひご一緒させてくださいませ❤




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