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10.08.17:55 特異体質の男 |
ずっと書こうと思って書けてなかった煙草ネタです。
次五でもル次でもなく、一応ファミリーものですが、一応下げで。
本文へは続きからどうぞ。
あと3時間!!
特異体質の男
仕事と呼ばれていった先のアジトで、男が2人死んでいた。
いや、死んでいた、というのは過分に語弊がある。正確に言えば、死んではいないが今にも死にそうな土気色の顔をしてソファに倒れていた。
「…何を、しているのだ」
思わず渋面でそう呻くと、倒れていた方の1人、ド派手な赤いジャケットの男がギギギと音でもしそうな動きでこちらを向いた。
「よお、五右ェ門~」
「ルパン、何かあったのか?」
ルパンにしろ、隣に転がっている次元にしろ、目立って外傷があるわけでもない。アジトに戦闘の跡があるわけでもないし、基本的にタフな2人がここまで疲弊しているというのは滅多にあることではない。
「いやぁ実はな…」
よっこらしょ、と面倒くさそうに起き上がったルパン。
「どっちが煙草を我慢できるかって賭けてるンだ」
「…はぁ?」
ルパンによれば。
先日、日本では煙草が値上がった。煙草1箱の値段がちょっとしたランチの値段くらいはするのだ。ルパンも次元も、そんなことで煙草をやめるつもりはさらさらないが、元がヘビースモーカーなだけにこの値上げは結構懐が痛いのも確かで。
高いよな、という会話から、ふと禁煙したらどうなるかという話題になった。
「俺はともかく、お前なんかチェーンスモーカーに近いだろ? 絶対禁煙なんか出来ないって」
そう告げたルパンだったが、その台詞は次元の負けず嫌いな面を逆撫でしたらしい。
「ならやってみるか?」
負けたほうが、1ヶ月の煙草代を奢る。そんな誓約つきで始まった、禁煙という名の我慢比べ。もちろん2人とも、勝った時点で煙草を吸う気は満々だ。だからこそ相手には負けられない、と思う。
「で、今日が3日目」
「…よく2日も我慢したな」
五右ェ門は向かいのソファで身じろぎ一つしない次元を見やる。
自他共に認めるヘビースモーカーの次元は、1日3箱の煙草を空ける。睡眠時間や食事、風呂などで12時間位は吸えないとしても、残り12時間で60本。つまり12分に1本の間隔で吸っている計算になる。煙草1本の燃焼時間が5~8分くらいであることを考えれば、ほぼチェーンスモーク状態であるといって間違いない。
そんな男が、もう2日も煙草を吸っていないという。
「こやつ、そのうち死ぬのではないか?」
「俺もそう思うんだけっども、意外と負けず嫌いだからな~」
「…下らん」
呆れた顔で、そう告げた五右ェ門。大きくため息をついていたが、ふと何かを思いついたらしい。おもむろに次元に近寄ると、そのスーツのポケットから馴染みの赤い箱を取り出す。
「おい、何する」
掠れた声で次元が抗議するが、抵抗を見せるわけでもない。とにかく動くのすら億劫なのだろう。脱力感は典型的なニコチン切れの禁断症状だが、それにしても重症だ。
「ルパン、火を貸せ」
「おう?」
その箱から煙草を2本取り出すと、それぞれに火を点ける。
「何するの、五右ェ門ちゃん?」
「こうするのだ」
そして、火のついた煙草を、五右ェ門はおもむろにルパンと次元の口に突っ込んだ。
「おわっぷ!」
「むぐっ!?」
無理矢理咥えさせられた煙草。しかし、条件反射というものは恐ろしいもので、2人は同時に深々とその煙を吸い込んでいた。2日ぶりの煙草の煙は急激に身体を駆け巡り、くらくらする。
「これであいこだ。諦めろ」
しれっとそう言い、五右ェ門はにっと口角を上げた。
「…なんかスッキリした」
むくっとソファから起き上がり、次元はそんなことを言う。目に精気が戻り、なんとなく顔色もよくなったような気がする。
「…恐るべし」
自分もこの1本でかなりすっきりしたが、やはり次元ほどではない。
次元大介、0.3秒の早撃ちを誇る世界一のガンマン。義理堅く頼りになる相棒。そして、酸素ではなくペルメルの煙を吸って生きる男。
今度からプロフィール書き換えるべきかもしれねぇな。
いつもと違う煙草を片手に、ルパンは苦笑したのだった。
次元さんは煙草を止めたら死ぬと思います(真顔)
次五でもル次でもなく、一応ファミリーものですが、一応下げで。
本文へは続きからどうぞ。
あと3時間!!
特異体質の男
仕事と呼ばれていった先のアジトで、男が2人死んでいた。
いや、死んでいた、というのは過分に語弊がある。正確に言えば、死んではいないが今にも死にそうな土気色の顔をしてソファに倒れていた。
「…何を、しているのだ」
思わず渋面でそう呻くと、倒れていた方の1人、ド派手な赤いジャケットの男がギギギと音でもしそうな動きでこちらを向いた。
「よお、五右ェ門~」
「ルパン、何かあったのか?」
ルパンにしろ、隣に転がっている次元にしろ、目立って外傷があるわけでもない。アジトに戦闘の跡があるわけでもないし、基本的にタフな2人がここまで疲弊しているというのは滅多にあることではない。
「いやぁ実はな…」
よっこらしょ、と面倒くさそうに起き上がったルパン。
「どっちが煙草を我慢できるかって賭けてるンだ」
「…はぁ?」
ルパンによれば。
先日、日本では煙草が値上がった。煙草1箱の値段がちょっとしたランチの値段くらいはするのだ。ルパンも次元も、そんなことで煙草をやめるつもりはさらさらないが、元がヘビースモーカーなだけにこの値上げは結構懐が痛いのも確かで。
高いよな、という会話から、ふと禁煙したらどうなるかという話題になった。
「俺はともかく、お前なんかチェーンスモーカーに近いだろ? 絶対禁煙なんか出来ないって」
そう告げたルパンだったが、その台詞は次元の負けず嫌いな面を逆撫でしたらしい。
「ならやってみるか?」
負けたほうが、1ヶ月の煙草代を奢る。そんな誓約つきで始まった、禁煙という名の我慢比べ。もちろん2人とも、勝った時点で煙草を吸う気は満々だ。だからこそ相手には負けられない、と思う。
「で、今日が3日目」
「…よく2日も我慢したな」
五右ェ門は向かいのソファで身じろぎ一つしない次元を見やる。
自他共に認めるヘビースモーカーの次元は、1日3箱の煙草を空ける。睡眠時間や食事、風呂などで12時間位は吸えないとしても、残り12時間で60本。つまり12分に1本の間隔で吸っている計算になる。煙草1本の燃焼時間が5~8分くらいであることを考えれば、ほぼチェーンスモーク状態であるといって間違いない。
そんな男が、もう2日も煙草を吸っていないという。
「こやつ、そのうち死ぬのではないか?」
「俺もそう思うんだけっども、意外と負けず嫌いだからな~」
「…下らん」
呆れた顔で、そう告げた五右ェ門。大きくため息をついていたが、ふと何かを思いついたらしい。おもむろに次元に近寄ると、そのスーツのポケットから馴染みの赤い箱を取り出す。
「おい、何する」
掠れた声で次元が抗議するが、抵抗を見せるわけでもない。とにかく動くのすら億劫なのだろう。脱力感は典型的なニコチン切れの禁断症状だが、それにしても重症だ。
「ルパン、火を貸せ」
「おう?」
その箱から煙草を2本取り出すと、それぞれに火を点ける。
「何するの、五右ェ門ちゃん?」
「こうするのだ」
そして、火のついた煙草を、五右ェ門はおもむろにルパンと次元の口に突っ込んだ。
「おわっぷ!」
「むぐっ!?」
無理矢理咥えさせられた煙草。しかし、条件反射というものは恐ろしいもので、2人は同時に深々とその煙を吸い込んでいた。2日ぶりの煙草の煙は急激に身体を駆け巡り、くらくらする。
「これであいこだ。諦めろ」
しれっとそう言い、五右ェ門はにっと口角を上げた。
「…なんかスッキリした」
むくっとソファから起き上がり、次元はそんなことを言う。目に精気が戻り、なんとなく顔色もよくなったような気がする。
「…恐るべし」
自分もこの1本でかなりすっきりしたが、やはり次元ほどではない。
次元大介、0.3秒の早撃ちを誇る世界一のガンマン。義理堅く頼りになる相棒。そして、酸素ではなくペルメルの煙を吸って生きる男。
今度からプロフィール書き換えるべきかもしれねぇな。
いつもと違う煙草を片手に、ルパンは苦笑したのだった。
次元さんは煙草を止めたら死ぬと思います(真顔)
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