11.15.15:27 [PR] |
05.14.00:40 その子が信じてくれたなら |
空を飛ぶことだって湖の水を飲み干すことだってできるのに!
先日カリ城を見に行ってからずっと家ではカリ城がかかりっぱなしの管理人ですこんばんは。
好きすぎてもうほんとにどうしよう…!
とはいえ今日の記事の中身には何の関係もなかったのですがw
改めまして。
大好き大好きな管理人様のお誕生日記念に捧げます。
Happy Birthday!!
遅くなりすぎ&リク消化不良でごめんなさい!!
素敵な1年になりますように❤
♪拍手ぱちぱちありがとうございます!!♪
「飯、喰ってくだろ?」
意外にも、と言ったら怒られるだろうか。そう声をかけて席を立ったのはルパンではなく次元の方だった。
「え?」
驚いてぽかんとその顔を見上げた私に、少し苛立ったような声でもう一度「どうなんだ?」と問うから、慌てて「いただくわ」と答えた。
「んじゃポーカーでもやって待ってましょ」
私の隣でトランプを操るルパンは、無邪気に「俺様カレーがいいなあ~」なんてリクエスト。次元は聞いているのかいないのか、はいはいと適当に相槌を打ち、煙草の煙を棚引かせながら台所へと消えていく。
「…ねえルパン」
その背中を穴が開くほど見詰めて見送ってから。
「なあに? 不二子ちゃん」
こちらを向くルパンに素朴な疑問を投げかけた。
「食事って…毎回次元が作るの?」
私がそう問うたのにはもちろんわけがある。
ルパンはお坊ちゃん育ちの割には家事も一通りのことは器用にこなす男で、特におばあちゃん仕込だという料理の数々はそこらの食堂なんかよりもよほど美味しいものが出てくる。だからてっきり、アジトの食事はルパンが作るのか、そうでなければ食べに出たりデリバリーを頼んだりしているのかと思っていた。というよりも、まず次元が食事を作るところが一切想像できなかっただけでもあるのだけれど。
「いーや。一応当番制なのよ? 俺も作るけど今日は次元ちゃんの番なの」
長い指で器用にカードをシャッフルしながら、ルパンはそう答える。
「あ、そうなの」
とは言われても、どうもあの次元がエプロンかけて包丁を握る姿が思い浮かばない。酒と煙草だけで生きてると言われても信じるぐらい、あの男には生活感というものが欠片もないのだ。ちゃんと食べられるものが出てくるのかしら。やっぱり断って帰った方が良かったかもしれないわ。そんな思いが脳裏を過ぎる。
「大丈夫だって。最近じゃちゃんと料理の腕は上がってるから」
余程私が不安そうな顔をしていたのだろう。こちらを見遣ったルパンが咥えた煙草に火を入れながら苦笑した。
「ってことは最初はろくなもんじゃなかったわけ?」
「まあね…ここだけの話だけど」
そこでちらりと台所の方へ視線を向け、それから到底聞こえやしないだろうにそっと声を潜める。
「最初はそりゃ酷かったんだぜぇ。あいつの場合料理が下手とか上手いとか言う以前の問題で、食えりゃなんでもいいって性質だからさ」
作るもんもそんな感じで、美味いとか不味いとかそういう問題以前に味気ないったらなくって。ルパンは煙を吐き出しながら小さく笑う。
「貧乏舌っていうのかなぁ。美味い物もさ、食ったことがないとわかんないもんなんだよな」
それにレパートリーも少ないからあいつが当番の度に同じもん食わされるのは辟易したぜ。そう言ってぼやきながらもルパンはどこか楽しそうな顔。それでもやっぱり料理をする次元など思い浮かばなない私は、よほど想像力が欠如してるのかしら。
「…見に行く?」
私の方を見てニヤッと笑うから、好奇心に負けた。
カードをテーブルに残して連れだって席を立つ。別にこっそりする必要もないのに、なんとなく足音を忍ばせて次元のいるキッチンへ向かった。
「ほら」
「…ほんと」
律儀にエプロンをして包丁を片手に台所に立つ後姿はなかなか様になっている。こうして見てみれば、あんなに想像できなかったのが逆に不思議なくらい。コンロの上にはコトコト湯気を立てる鍋。辺りに立ち込めるなんとも言えないおいしそうな香りにつられたのか小さくお腹が鳴った。あらやだ。聞こえちゃったかしら?
「でもどうやって上達したの?」
まさかルパンのお料理教室を開いたわけではないでしょう? そう問うと、ルパンは小さく肩を竦める。
「いやね、片っ端から美味しいもの食べさせただけ」
「それだけ?」
「うん、それだけ。美味い物食べれば自分の料理の美味い不味いもわかるでしょう?」
「そんなもんかしら…」
それがわかったところで料理の上達とはまた別の話だと思うのだけど…。そんなことで上達するのならこの世にクッキングスクールもレストランも要らなくなってしまう。憮然とした顔でルパンを見上げるけれど、ルパンは上の空で、そして何を思ったのか突然くすくすと笑い始める。
「何?」
「いや、ひょっとしたらあいつの料理がうまくなったんじゃなくて、俺があいつの作るもんに慣れただけかもしれねえけどさ」
「え?」
「だってあいつのことだって最初の頃は『煮ても焼いても食えねえ奴』とか思ってたのに、今じゃ四六時中一緒に居たって平気なんだぜ。慣れってすげえよなあ。それと一緒かもしれねえよな。だって当番の度に食わされてたベーコン豆だってだんだん好きになってきたし」
今じゃあの味気ない感じが気に入ってたりして。呆気にとられる私をよそにルパンはそんなことを言ってくすくすと笑い続けている。
「…おい、さっきから何だ。全部聞こえてんだぞ」
煮ても焼いても食えない味気ない野郎で悪かったな。お玉を片手に憮然とした表情で振り返る次元。本当に思っていた以上にエプロンが似合っていて、私はいろいろとこの男に対する考えを改めないといけない気がする。
「そんな怒らないでよ。俺はお前の飯大好きなんだってば」
「お世辞は結構。食いたくなけりゃそう言いな。代わりに鉛の弾をごちそうしてやるから」
「わお次元ちゃんてば野蛮~」
私の目の前できゃっきゃと口喧嘩を始めたふたりをしばし呆然と見つめた後、くるりと背を向けた。そのまますたすた部屋を後にすることにする。
「あれえ不二子ちゃんどこ行くの?」
「悪いけど帰るわ! またねルパン!」
ルパンが不思議そうな声で呼び止めるし次元も『もう出来るぞ!』なんて叫んでるけど、もう戻るつもりはないわ。だって。
二人の気持ち悪いくらいの仲良しっぷりに、ご飯の前から胸焼けしちゃったんだもの! 全く付き合ってらんないわ。ご馳走様!
Fin.
どっちも消化不良でごめんなさい少しでも楽しんでもらえたらいいな(;´Д`)
先日カリ城を見に行ってからずっと家ではカリ城がかかりっぱなしの管理人ですこんばんは。
好きすぎてもうほんとにどうしよう…!
とはいえ今日の記事の中身には何の関係もなかったのですがw
改めまして。
大好き大好きな管理人様のお誕生日記念に捧げます。
Happy Birthday!!
遅くなりすぎ&リク消化不良でごめんなさい!!
素敵な1年になりますように❤
♪拍手ぱちぱちありがとうございます!!♪
Vacation
「はぁぁ~~~極楽極楽」
「オヤジか」
少し熱めのお湯にゆっくりと身体を浸し、思わず漏れたそんなルパンの言葉を耳ざとく聞きつけた次元が隣で笑った。
「お前だって人のこと言えねえだろう?」
じろりと睨めば次元は肩を竦めて笑う。お湯に浮かべられたお盆の上には日本酒の入った徳利と猪口。普段は洋酒党の次元も、このシチュエーションにはやはりそうなるらしい。
昨夜夜遅くにたどり着いた人里離れた山奥の秘境と言われる温泉宿。風情たっぷりだというのにまだハイシーズンには少し早いからか他に客はおらず、朝から2人で広い露天風呂を貸切という贅沢を満喫していた。
「この呑兵衛め。逆上せても介抱してやんねえからなー」
「うるせえや。飲みたいって言っても分けてやらねえからな」
「俺は上がった後のキンキンに冷えたビールの方がいいもんねーだ」
「やっぱりオヤジだな」
「休暇に温泉を選ぶあたりでもうすでにオヤジだろうが」
ルパンは思わず突っ込みを入れて、笑う。
「確かにちげぇねぇ」
猪口に口を付け、次元も笑う。いつになく饒舌なのは機嫌がいい証拠だ。
今度の仕事が終わったら2年ぶりに日本へ行って温泉に入ろう。そう言いだしたのがどちらだったか覚えていないが、次元はこの休暇をとてもとても楽しみにしていたらしい。その証拠に、仕事に合流した五右エ門にどこの温泉がお勧めかなんてリサーチをしていたらしいし、仕事の当日は気合い入りまくりで銭形をも怯ませる鬼気迫る勢いだったのだから。
ルパンは次元に近寄ると、その手からひょいっと猪口を取り上げ一気にグイッと煽った。
「おい」
「来てよかった?」
抗議の声を上げる次元を軽くいなしてそう問うた。そんなことは聞かなくてもわかり切っていたけれど。
「…当然だろ」
にやりと唇を上げる次元に顔を寄せ、ルパンもまた笑った。
まだまだ2人の休暇は始まったばかり。
Fin.「オヤジか」
少し熱めのお湯にゆっくりと身体を浸し、思わず漏れたそんなルパンの言葉を耳ざとく聞きつけた次元が隣で笑った。
「お前だって人のこと言えねえだろう?」
じろりと睨めば次元は肩を竦めて笑う。お湯に浮かべられたお盆の上には日本酒の入った徳利と猪口。普段は洋酒党の次元も、このシチュエーションにはやはりそうなるらしい。
昨夜夜遅くにたどり着いた人里離れた山奥の秘境と言われる温泉宿。風情たっぷりだというのにまだハイシーズンには少し早いからか他に客はおらず、朝から2人で広い露天風呂を貸切という贅沢を満喫していた。
「この呑兵衛め。逆上せても介抱してやんねえからなー」
「うるせえや。飲みたいって言っても分けてやらねえからな」
「俺は上がった後のキンキンに冷えたビールの方がいいもんねーだ」
「やっぱりオヤジだな」
「休暇に温泉を選ぶあたりでもうすでにオヤジだろうが」
ルパンは思わず突っ込みを入れて、笑う。
「確かにちげぇねぇ」
猪口に口を付け、次元も笑う。いつになく饒舌なのは機嫌がいい証拠だ。
今度の仕事が終わったら2年ぶりに日本へ行って温泉に入ろう。そう言いだしたのがどちらだったか覚えていないが、次元はこの休暇をとてもとても楽しみにしていたらしい。その証拠に、仕事に合流した五右エ門にどこの温泉がお勧めかなんてリサーチをしていたらしいし、仕事の当日は気合い入りまくりで銭形をも怯ませる鬼気迫る勢いだったのだから。
ルパンは次元に近寄ると、その手からひょいっと猪口を取り上げ一気にグイッと煽った。
「おい」
「来てよかった?」
抗議の声を上げる次元を軽くいなしてそう問うた。そんなことは聞かなくてもわかり切っていたけれど。
「…当然だろ」
にやりと唇を上げる次元に顔を寄せ、ルパンもまた笑った。
まだまだ2人の休暇は始まったばかり。
ごちそうさま!
「飯、喰ってくだろ?」
意外にも、と言ったら怒られるだろうか。そう声をかけて席を立ったのはルパンではなく次元の方だった。
「え?」
驚いてぽかんとその顔を見上げた私に、少し苛立ったような声でもう一度「どうなんだ?」と問うから、慌てて「いただくわ」と答えた。
「んじゃポーカーでもやって待ってましょ」
私の隣でトランプを操るルパンは、無邪気に「俺様カレーがいいなあ~」なんてリクエスト。次元は聞いているのかいないのか、はいはいと適当に相槌を打ち、煙草の煙を棚引かせながら台所へと消えていく。
「…ねえルパン」
その背中を穴が開くほど見詰めて見送ってから。
「なあに? 不二子ちゃん」
こちらを向くルパンに素朴な疑問を投げかけた。
「食事って…毎回次元が作るの?」
私がそう問うたのにはもちろんわけがある。
ルパンはお坊ちゃん育ちの割には家事も一通りのことは器用にこなす男で、特におばあちゃん仕込だという料理の数々はそこらの食堂なんかよりもよほど美味しいものが出てくる。だからてっきり、アジトの食事はルパンが作るのか、そうでなければ食べに出たりデリバリーを頼んだりしているのかと思っていた。というよりも、まず次元が食事を作るところが一切想像できなかっただけでもあるのだけれど。
「いーや。一応当番制なのよ? 俺も作るけど今日は次元ちゃんの番なの」
長い指で器用にカードをシャッフルしながら、ルパンはそう答える。
「あ、そうなの」
とは言われても、どうもあの次元がエプロンかけて包丁を握る姿が思い浮かばない。酒と煙草だけで生きてると言われても信じるぐらい、あの男には生活感というものが欠片もないのだ。ちゃんと食べられるものが出てくるのかしら。やっぱり断って帰った方が良かったかもしれないわ。そんな思いが脳裏を過ぎる。
「大丈夫だって。最近じゃちゃんと料理の腕は上がってるから」
余程私が不安そうな顔をしていたのだろう。こちらを見遣ったルパンが咥えた煙草に火を入れながら苦笑した。
「ってことは最初はろくなもんじゃなかったわけ?」
「まあね…ここだけの話だけど」
そこでちらりと台所の方へ視線を向け、それから到底聞こえやしないだろうにそっと声を潜める。
「最初はそりゃ酷かったんだぜぇ。あいつの場合料理が下手とか上手いとか言う以前の問題で、食えりゃなんでもいいって性質だからさ」
作るもんもそんな感じで、美味いとか不味いとかそういう問題以前に味気ないったらなくって。ルパンは煙を吐き出しながら小さく笑う。
「貧乏舌っていうのかなぁ。美味い物もさ、食ったことがないとわかんないもんなんだよな」
それにレパートリーも少ないからあいつが当番の度に同じもん食わされるのは辟易したぜ。そう言ってぼやきながらもルパンはどこか楽しそうな顔。それでもやっぱり料理をする次元など思い浮かばなない私は、よほど想像力が欠如してるのかしら。
「…見に行く?」
私の方を見てニヤッと笑うから、好奇心に負けた。
カードをテーブルに残して連れだって席を立つ。別にこっそりする必要もないのに、なんとなく足音を忍ばせて次元のいるキッチンへ向かった。
「ほら」
「…ほんと」
律儀にエプロンをして包丁を片手に台所に立つ後姿はなかなか様になっている。こうして見てみれば、あんなに想像できなかったのが逆に不思議なくらい。コンロの上にはコトコト湯気を立てる鍋。辺りに立ち込めるなんとも言えないおいしそうな香りにつられたのか小さくお腹が鳴った。あらやだ。聞こえちゃったかしら?
「でもどうやって上達したの?」
まさかルパンのお料理教室を開いたわけではないでしょう? そう問うと、ルパンは小さく肩を竦める。
「いやね、片っ端から美味しいもの食べさせただけ」
「それだけ?」
「うん、それだけ。美味い物食べれば自分の料理の美味い不味いもわかるでしょう?」
「そんなもんかしら…」
それがわかったところで料理の上達とはまた別の話だと思うのだけど…。そんなことで上達するのならこの世にクッキングスクールもレストランも要らなくなってしまう。憮然とした顔でルパンを見上げるけれど、ルパンは上の空で、そして何を思ったのか突然くすくすと笑い始める。
「何?」
「いや、ひょっとしたらあいつの料理がうまくなったんじゃなくて、俺があいつの作るもんに慣れただけかもしれねえけどさ」
「え?」
「だってあいつのことだって最初の頃は『煮ても焼いても食えねえ奴』とか思ってたのに、今じゃ四六時中一緒に居たって平気なんだぜ。慣れってすげえよなあ。それと一緒かもしれねえよな。だって当番の度に食わされてたベーコン豆だってだんだん好きになってきたし」
今じゃあの味気ない感じが気に入ってたりして。呆気にとられる私をよそにルパンはそんなことを言ってくすくすと笑い続けている。
「…おい、さっきから何だ。全部聞こえてんだぞ」
煮ても焼いても食えない味気ない野郎で悪かったな。お玉を片手に憮然とした表情で振り返る次元。本当に思っていた以上にエプロンが似合っていて、私はいろいろとこの男に対する考えを改めないといけない気がする。
「そんな怒らないでよ。俺はお前の飯大好きなんだってば」
「お世辞は結構。食いたくなけりゃそう言いな。代わりに鉛の弾をごちそうしてやるから」
「わお次元ちゃんてば野蛮~」
私の目の前できゃっきゃと口喧嘩を始めたふたりをしばし呆然と見つめた後、くるりと背を向けた。そのまますたすた部屋を後にすることにする。
「あれえ不二子ちゃんどこ行くの?」
「悪いけど帰るわ! またねルパン!」
ルパンが不思議そうな声で呼び止めるし次元も『もう出来るぞ!』なんて叫んでるけど、もう戻るつもりはないわ。だって。
二人の気持ち悪いくらいの仲良しっぷりに、ご飯の前から胸焼けしちゃったんだもの! 全く付き合ってらんないわ。ご馳走様!
Fin.
どっちも消化不良でごめんなさい少しでも楽しんでもらえたらいいな(;´Д`)
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