11.15.21:06 [PR] |
10.13.23:40 10/13 照れたように笑う顔 |
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お題:照れたように笑う顔
・ル次
・ルパン様視点
・ファーコン直後ぐらいと思ってください…
それでもOKでしたら追記へどうぞv
いつだって深く被った帽子で隠された顔。その素顔を俺はまだ片手で数えられるほどしか見たことがない。
『なぁ次元』
『なんだ?』
『帽子脱げって。んで顔見せてよ』
『野郎の顔なんざ見て何が面白い?』
何度やってもその会話の繰り返し。でも気になるじゃんね? 命預ける相棒の素顔もまともに見たことがないなんてどうかしてると思わない?
あるとき次元がソファの上でうたた寝してたから、その顔の上に乗っかった帽子を取ってみることにした。気配を殺して近づいてそっと伸ばした手で帽子を取る。現れた顔が部屋の光にほんの少し眩しそうに歪められた。こんなに間近でじっくり見たのは始めてかもしれねぇな。
少し癖が強くて硬い髪。東洋人にしては彫の深い顔立ち。一文字に引き結ばれた口は寝ていてもどこか不機嫌そう。その証拠に、眉間にはこんなときでさえも皺が寄っている。
「…返せよ」
「あら? 起きてたの?」
むっすりと引き結ばれていた口が開いて、低い声が零れた。薄く開いた黒い目が眩しげにしながらも俺を睨みつけてくるから、俺は手に持っていた帽子を次元の手の届かないところまで放ってやった。
「おい…!」
「お前さぁ…」
起き上がって、部屋の隅に転がったボルサリーノと俺を交互に睨みつけて更に深くなった眉間の皺。右手の人差し指でトンとそこを突いてやると、次元は酷く怪訝な顔になる。
「…なんだよ?」
「こーんな眉間に皺寄せて疲れない?」
「は?」
益々怪訝な顔。当然その眉間の皺も緩むことなく。
「渋い顔しちゃってさぁ」
「おい…ちょっと…ヤメろってなにしやがる!!」
両手の人差し指でそこを引き伸ばすようにしてやると、次元は額を押さえて慌てて身を引く。
「もっと人生気楽にいこうぜぇ?」
「…お前ってホントに意味わからねぇな…」
呆気に取られたのか額を押さえたまま俺をまじまじと見つめてそんなことを言う。眉間に寄った皺がないだけで随分幼くそしてとっつきやすく見えたから、笑いながら肩をすくめて見せた。
「普段の不貞腐れたみたいな顔よりも、その顔のほうがよっぽどお前らしくていいと思うぜ俺は」
その瞬間。
呆気に取られていた次元の顔がへにゃりと奇妙に崩れた。ハの字に下がった眉に丸くなった目と緩んだ口元。照れてるの? 笑ってんの? 初めて見る表情に、俺のほうが動揺しちゃったじゃないの。
「え…何、まさか照れてんの?」
思わず素でそんなことを問えば、あからさまに赤くなる次元の顔。
「ば…んなわけあるか!!!」
慌ててそっぽを向いて、乱暴に帽子を拾いに立った次元の背中を見ながら俺は笑った。
可愛いところもあるじゃんね? 俺にだけは、もう少しそんなところも見せてよ。ねぇ相棒?
そんな顔を見せるのはルパン様にだけ^^
最後まで読んでくださってありがとうございました!!!
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