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07.25.00:00 7/25 気合い注入 |
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お題:気合い注入
・まさかの銭形警部オンリー
・かなり短いです…
OKでしたら追記へどうぞ
枕元でけたたましく鳴る目覚ましに起こされた。その指し示す針を見やれば、朝の7時半。まだ眠りについて2時間ほどしか経っていなかった。身体の疲れはほとんど取れていなかったが不思議と頭は冴えていた。現場では徹夜で作業している部下達がいるはずだ。2時間だけでも布団で寝れたことに感謝しないといけないな、銭形はと思った。後でコーヒーの一本でも差し入れてやろうか。
布団から這い出して洗面所へ向かう。鏡の中の自分はかなり疲れた顔をしていたが、ざばざばと豪快に顔を洗えば少しはさっぱりとした顔に戻った。
部屋に戻ってトースターにパンを放り込み、その間にテレビのスイッチを入れる。にこやかな笑顔のキャスターが今日の天気を伝えていた。今夜の天気は晴れ。風は少し強いらしい。ならば今考えている警備ルートにプラスして空からの襲撃も考えておかないといけないかもしれない。そんなことを考えながら焼きあがったトーストをコーヒーで流し込む。
世界情勢がどうした、どこそこの国で内乱だなどというニュースに気を取られているうち、いきなりよく見知った顔がテレビに映し出された。赤いジャケットで不敵に笑う好敵手。ルパン三世。
『先日当番組に、世界的大泥棒ルパン三世から今夜市立美術館から秘宝"女神の涙"を盗むとの予告状が届きました。番組では全力を挙げてこの予告状の真偽を探り、その結果この予告状が警察にも届けられていたことを掴みました。犯行予告を送られた美術館では現在も大掛かりなルパン三世逮捕計画が遂行されている模様です。それでは現場のジェニス記者を呼んでみましょう…』
キャスターの読み上げる原稿を聞きながら、銭形は小さく舌打ちをした。情報が漏れるのはある程度なら仕方ないが、踊らされているマスコミほど足手まといになるものはない。放送局に犯行予告を送りつけたということは、これもルパンの計画のうちなのだろう。ならばマスコミの出入りを厳しく制限する必要がある。どこまでが計画の中で、どこまでが計画の外なのか。どれほど対決をして場数を踏んでも、行動を読みきれないことに苛立ちは隠せない。
「…いかんいかん…」
それすらもルパンの思う壺なのではないかと思うことがある。自分を苛立たせるための計画だったら? ルパンという男を前にすると全てに疑心暗鬼になってしまう。いや、ならざるを得ないのだ。全てを疑え。他人はもとより自分すらも疑って初めて、ルパンという男と対等に渡り合えるのではないか。そんなことすら思うことがある。
ふと時計を見やれば8時が来ようとしていた。慌てていつものスーツに着替え、警察手帳と手錠を確認して身支度を整える。
コートを羽織ろうとした時、はらりとポケットから一枚の紙が滑り落ちた。
『今夜12時、秘宝"女神の涙"を頂きに参る ルパン三世』
パソコンでそっけなく書かれたその予告状。その下には小さく手書きで、『楽しみにしてるぜとっつぁん』と書かれていた。
「ルパンの奴め…」
予告状をくしゃりと握りつぶし、銭形は小さくひとりごちた。そしてパンッと両手で顔を挟むようにして叩く。
「今日こそケリをつけてやる。待ってろルパン!!!」
帽子を目深に被り、銭形は勢いよく部屋を飛び出した。
決戦は今夜。戦いはまだ始まったばかりである。
とっつぁんメインで書いたの初めてだ!
ルパン様達寄りで書くとどうしても道化っぽくなってしまうので、今回はカッコいいとっつぁんを目指しました。
新ル~パースリ寄りのお茶目でドジな警部も可愛いですけど、旧ルやカリ城あたりのカッコいい切れ者の警部もいいですよね。
読んでくださってありがとうございました!!
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