11.16.07:43 [PR] |
08.10.00:00 8/10 日に焼けた腕 |
365日のお題【8/10】です。
(お題についての詳細はこちらをご覧下さい)
お題:日に焼けた腕
・次五
・甘々
OKでしたら追記へどうぞ
アジトの庭には炎天下をものともせずに刀を振るう男の姿。
「でやぁああ!!」
気合いと共に振るった白刃が閃いて、庭に立てていた鉄筋が鮮やかに切り落とされる。鋭利な断面に太陽の光が煌いた。
「ふぅ…」
刀を仕舞い集中力を解いたとき、背後からガンガンと何かを叩く音が聞こえてきた。
「相変わらず見事だな」
「次元」
いつの間に来ていたのか背後にはタオルとバケツとペットボトルを下げた次元。手が塞がっているために拍手が出来ず、どうやらバケツをペットボトルで叩いたようだった。
「ちっと休めよ。熱中症で倒れるぜ」
「む、かたじけない」
庭の隅の木陰に移動し、地べたに座り込む。次元に手渡されたペットボトルは程よく冷えていて、思った以上に自分が乾いていたことに気付かされた。ごくごくと喉を鳴らしてそれを飲めば、隣で次元が小さく苦笑した。
「修行も程ほどにしろよな、全く」
「自分を追い詰めてこそ向上の道はあるのだぞ」
「ぶっ倒れたんじゃ元も子もねぇだろ」
「心配するな、おぬしのように柔な鍛え方はしておらぬ」
しれっと言われれば次元は笑うしかない。確かに体力的には五右ェ門のほうがタフだ。
「ほらよ」
バケツの冷水にタオルを浸し、軽く絞ってから五右ェ門に手渡す。
「中はタフでも外はどうしようもねぇだろ。随分日に焼けてるぜ」
次元の指差した先。たすき掛けでむき出しになった五右ェ門の腕や顔、首筋などは赤黒く日に焼けていた。夏の炎天下にいたのだ。無理もない。元が白い五右ェ門は、日に焼けると赤くなってすぐに元に戻るタイプだった。それゆえに日に当たった直後はかなり傍目には痛々しいことになってしまう。
「冷やしとけよ。それだけで随分違う」
「…かたじけない」
受け取ったタオルはひやりと心地よく、少しひりひりとした痛みと熱を持っていた肌が落ち着いていくようだった。
「気持ちよいな」
「だろ」
汗で纏わりつく着物をはだけさせてタオルを当てていく。と、隣で手持ち無沙汰に煙草の紫煙を燻らせていた次元が、不意に五右ェ門の腕を取った。
「何を…」
「ここ…」
咥えていた煙草を木の幹に押し当てて揉み消し、低く呟く。そして、五右ェ門の肩口近く。丁度着物に隠れて日焼けの境目になっているところに突然唇を押し付けた。日に焼けて敏感になった肌はいつも以上にその唇の感触をリアルに伝えてくる。
「…!!」
「…すっげーそそる」
低く掠れた声。あからさまな色気を含んで囁かれた言葉に、五右ェ門の顔が日焼けだけではない朱に染まった。
「な…何を馬鹿な…!」
慌てて次元の手を振りほどくと、手に持っていたタオルを投げつけた。
「ぶへ!」
びしゃっと顔にタオルをぶつけられて次元が情けない声を上げている間に、五右ェ門はまた日差しの中へ戻っていく。そして先ほどまで以上に一心不乱に刀を振り始めた。
「あーあ、怒らせちまったかなぁ…」
やれやれと肩を落として呟いた次元の言葉を、蝉の声がかき消していった。
日焼けは火傷ですからね~直ぐに冷やせば症状もその後の引きも違いますよね~
最後まで読んで下さってありがとうございました!
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お題:日に焼けた腕
・次五
・甘々
OKでしたら追記へどうぞ
アジトの庭には炎天下をものともせずに刀を振るう男の姿。
「でやぁああ!!」
気合いと共に振るった白刃が閃いて、庭に立てていた鉄筋が鮮やかに切り落とされる。鋭利な断面に太陽の光が煌いた。
「ふぅ…」
刀を仕舞い集中力を解いたとき、背後からガンガンと何かを叩く音が聞こえてきた。
「相変わらず見事だな」
「次元」
いつの間に来ていたのか背後にはタオルとバケツとペットボトルを下げた次元。手が塞がっているために拍手が出来ず、どうやらバケツをペットボトルで叩いたようだった。
「ちっと休めよ。熱中症で倒れるぜ」
「む、かたじけない」
庭の隅の木陰に移動し、地べたに座り込む。次元に手渡されたペットボトルは程よく冷えていて、思った以上に自分が乾いていたことに気付かされた。ごくごくと喉を鳴らしてそれを飲めば、隣で次元が小さく苦笑した。
「修行も程ほどにしろよな、全く」
「自分を追い詰めてこそ向上の道はあるのだぞ」
「ぶっ倒れたんじゃ元も子もねぇだろ」
「心配するな、おぬしのように柔な鍛え方はしておらぬ」
しれっと言われれば次元は笑うしかない。確かに体力的には五右ェ門のほうがタフだ。
「ほらよ」
バケツの冷水にタオルを浸し、軽く絞ってから五右ェ門に手渡す。
「中はタフでも外はどうしようもねぇだろ。随分日に焼けてるぜ」
次元の指差した先。たすき掛けでむき出しになった五右ェ門の腕や顔、首筋などは赤黒く日に焼けていた。夏の炎天下にいたのだ。無理もない。元が白い五右ェ門は、日に焼けると赤くなってすぐに元に戻るタイプだった。それゆえに日に当たった直後はかなり傍目には痛々しいことになってしまう。
「冷やしとけよ。それだけで随分違う」
「…かたじけない」
受け取ったタオルはひやりと心地よく、少しひりひりとした痛みと熱を持っていた肌が落ち着いていくようだった。
「気持ちよいな」
「だろ」
汗で纏わりつく着物をはだけさせてタオルを当てていく。と、隣で手持ち無沙汰に煙草の紫煙を燻らせていた次元が、不意に五右ェ門の腕を取った。
「何を…」
「ここ…」
咥えていた煙草を木の幹に押し当てて揉み消し、低く呟く。そして、五右ェ門の肩口近く。丁度着物に隠れて日焼けの境目になっているところに突然唇を押し付けた。日に焼けて敏感になった肌はいつも以上にその唇の感触をリアルに伝えてくる。
「…!!」
「…すっげーそそる」
低く掠れた声。あからさまな色気を含んで囁かれた言葉に、五右ェ門の顔が日焼けだけではない朱に染まった。
「な…何を馬鹿な…!」
慌てて次元の手を振りほどくと、手に持っていたタオルを投げつけた。
「ぶへ!」
びしゃっと顔にタオルをぶつけられて次元が情けない声を上げている間に、五右ェ門はまた日差しの中へ戻っていく。そして先ほどまで以上に一心不乱に刀を振り始めた。
「あーあ、怒らせちまったかなぁ…」
やれやれと肩を落として呟いた次元の言葉を、蝉の声がかき消していった。
日焼けは火傷ですからね~直ぐに冷やせば症状もその後の引きも違いますよね~
最後まで読んで下さってありがとうございました!
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