11.15.19:02 [PR] |
08.22.00:00 8/22 垣根を取り払って |
(お題についての詳細はこちらをご覧下さい)
お題:垣根を取り払って
・次+五
・ゴエが仲間になって間もない頃の話
・というわけでイメージは1stゴエでお願いします
OKでしたら追記へどうぞ
「改めて自己紹介させてもらう。拙者、十三代目石川五右ェ門にござる」
ルパンの気まぐれで、この妙な侍が仲間に入ることになってしまった。時代錯誤な着物姿に言葉遣い。確かに刀の腕は天下一品だが世間常識というものからまるでかけ離れたこの男に最初に教えたことが『街中で刀を抜かない』ということだったのだから、次元が頭を抱えたくなったのも無理はないというものであった。
「おいルパン、お前の気まぐれで仲間にしたんだ。お前がちゃんと面倒みろよ」
「何言ってんの。お前、ちゃんと仲良くしろよ? そのためにもお前に五右ェ門の面倒まかせたんだから」
ルパンに文句を言ってもなしのつぶて。結局、初めての仕事までのしばらくの間行動をともにすることになってしまったのである。
何故こんなにもこの男が苦手に感じるのか次元自身よく分からなかった。猛禽類を思わせるような鋭い目つき。殺気が服を着て歩いているようなそんな気配。笑った顔もほとんど見たことがない。何時だって眉間に皺を寄せて難しい顔をして座禅を組んでいるか刀を振っているかなのだ。とにかくとっつきづらい。向こうが次元のことをどう思っているのかも分からなかった。
「…おまえさぁ」
「何だ」
ある日、アジトの庭先で一心不乱に刀を振っていた五右ェ門に、次元はふと声をかけた。途端に例の鋭い眼で睨まれ、一瞬なんでもないと言いかけそうになるが、無言で促されてようやく口を開く。
「…もっと肩の力抜いたらどうだ?」
ずっと感じていたことだった。この男がリラックスしているところなど、仲間になって行動を共にするようになってこのかた見たことがない。
「ふむ…」
反論されるかと思いきや、意外と素直に五右ェ門は考え込んだ。そしてしばらく視線を彷徨わせた後に、もう一度じろりと次元を見据える。
「おぬしはもう少し肩に力をいれたらどうだ」
「…ぁあ?」
そんなことを言われるなどとは露ほども思っていなかった。予想外のことを言われてぽかんとする次元に、五右ェ門は畳み掛けるようにして口を開く。
「おぬしもルパンもそうだ。へらへらとしていてつかみどころがない。相棒同士というものは性格まで似てくるものなのか」
真顔で問われ、次元は答えに詰まる。性格が似ているから長く相棒をしていられるのか、長く相棒をしているから性格が似てきたのか。それがどちらなのかなどわからないが、五右ェ門がそんなことを思っていたとは思わなかった。
「…ちょっと1回腹を割って話したほうが良さそうだな」
「うむ。拙者おぬしらに言いたいことはいろいろある。おぬしも拙者に言いたいことはあるのだろう?」
にやりと笑われて、次元は苦笑を返す。頑固で世間知らずで感情的になりやすいくせに他人の心情の機微に疎い。そんなイメージを持っていた『石川五右ェ門』という人間に対しての考え方を少し改めなければいけないな、と思った。
「今日はルパンもいねぇ。どうだ一杯」
「日本酒があるのならばいくらでも付き合おう」
にっと顔を見合わせて笑う。いい仕事をするには互いを知ることから始めなければならない。
連れ立ってアジトに帰っていく2人を風が静かに見送っていた。
1stゴエさんのツンツン具合というか野生児じみたところがカッコいいなと思います。
もちろん2ndのお茶目ゴエもパースリのワイルド末っ子ゴエも大好きだけど(^_^)
最後まで読んで下さってありがとうございました!!!
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