11.15.22:36 [PR] |
08.26.00:00 8/26 制御し難い感情 |
(お題についての詳細はこちらをご覧下さい)
お題:制御し難い感情
・くっつく前でも後でもいいですが、ル←次ですv
・感情とはなんと不便なものでしょう…
OKでしたら追記へどうぞ
ギシギシと心が軋む音が聞こえる。感情に板ばさみになって悲鳴を上げる心の声が。
「んじゃちょっと出かけてくるわ~♪ 留守番よろしく~」
「…ぁあ…」
いそいそと身づくろいをして玄関を出ようとする男の背を見つめながら、喉元まで上がってくる言葉を必死になって飲み込む。
(俺を置いてどこへ行く?)
愚問、だ。手に花束を抱えて向かうは女の元に決まっている。デートに頭が一杯の男は、そのにやけた顔もこちらを向けることもない。
(こっちを見ろよ。俺を見ろよ)
どろどろとどす黒い感情が身体の中を血液に代わって巡るのが分かる。それを容認する心<かんじょう>とそれを否定する頭〈りせい〉がせめぎ合い、身体を蝕む。そのもどかしさに意味なくのた打ち回って叫びまわりたい衝動に駆られる。
「…なんか顔色悪ぃな…大丈夫か?」
「…何でもねぇ」
ふと自分の様子を気遣う男に、またはらわたを抉られるかのような気分になる。
(そんな顔で見るんじゃねぇよ…っ!!)
気まぐれに向けられる優しさほど鋭利なものはない。斬鉄剣よりも切れ味を持つそれは、容易に押し込んだ感情を抉り出す。掌に爪が食い込むほどにぎゅうと握りしめる。ほんの少しだけ、心の痛みが薄らいだ気がした。
「そう? 心配だなぁ…お前無理するからさ」
「…俺のことなんかほっといてさっさと出掛けろよ。お前の顔見てるほうが体調も悪くなる」
「…そんな言い方はないでしょ」
あまりにつっけんどんな言い方に、さすがに男が顔を顰めた。
「なんでお前ってそんな言い方しか出来ないの?」
「うるせぇ、口が悪いのは生まれつきだ」
目を合わせず、わざと乱暴に言い放つ。
喉元まで出掛かっている本音を押し込めて、それが零れ落ちてしまわないように嘘と暴言で蓋をして、そしてさらに演技で外を塗り固める。あまりに脆くて危険な制作物。
「…ふーん、ま、いいや」
くるりと背を向けた男の背に視線が戻る。
(ルパン…)
縋ってしまえればいいと思う。甘えてしまえればいいと思う。それを阻むのは恐ろしく高くて厚いプライドという名の壁。常識という名の皮を被ったもう一人の自分。
「じゃあな」
その言葉に答えることもなく、次元は玄関に背を向けた。
こんな思いをするくらいなら感情などいらない。世界一心を許せるはずの男に心を掻き乱される自分が、ひたすらに惨めでならないと思った。
「ルパン…」
ひとりになった玄関で呼んだ名前。己の低い声は虚しく空気に溶けていった。
苦しくて切なくてそれでも諦め切れなくて…そんな関係が書きたいです。
どうやったらかっこよく書けますか(聞くなwww)
最後まで読んで下さってありがとうございました!!!
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