11.15.18:32 [PR] |
08.03.00:00 8/3 間違えた。 |
(お題についての詳細はこちらをご覧下さい)
お題:間違えた。
・ファミリー
・とばっちりを喰らうルパン様
・これもルパン様の一面ですけど…
・かっこよさはどこかへ行ってしまっています…
OKでしたら追記へどうぞ
「だってそう思うでしょう!?」
穏やかだった昼下がりのアジトに、不二子の切実な声が響く。
「いや…でもねぇ不二子ちゃん…そうは言ってもさぁひでぇ話だぜそれ…」
気圧されたようにして困った顔を見せるのはルパンだが、必死の不二子にそのしどろもどろの抗弁が通じるはずもない。
「あんなド派手で目立つ真っ赤なジャケットで街中を歩いてるのなんて、ルパンぐらいしかいないじゃないの! 間違えだってするわよ恥ずかしい!!」
つい数時間前のこと。街中で真っ赤な後姿を見かけた不二子はその背中に声をかけた。
『はぁい、ルパン。どうしたの? こんなところで』
ところが。
振り返ったのはルパンとは似ても似つかない赤の他人。一瞬ルパンが変装をしているのかとも思ったが、どうやらそうでもなかったらしい。不二子は公衆の面前で要らぬ恥をかくことになってしまった。男の背丈や体型が似ていたのも災いしたのだが、それ以上にあまりに目を引く赤いジャケットが不二子にその人物をルパンであると思い込ませた要因だった。確かに年がら年中あんな目立つ恰好をしているのはルパンぐらいしかいないだろうが。
「あーもう! このアタシが人違いするなんて! 大体ルパン、貴方がそんな真っ赤なジャケット着てるから悪いのよ! 少しは大人しくしてみようとか思わないわけ?」
「…そりゃねぇだろうよ不二子」
不二子の言い分は完全なる八つ当たり以外の何物でもないのだが、冷静さを欠いた不二子にその言葉は届かない。
「…拙者もその場におったのだがな…」
横で二人のやりとりを聞いていた五右ェ門が言いにくそうに口を開いた。
「そうだよ、五右ェ門。お前不二子と一緒に出てたろ? なんとか言ってやれよ、八つ当たりされたんじゃ敵わねぇ」
助けを求めて五右ェ門を見やれば、酷く難しい顔で見返してくる。
「…なんだよ、おい。まさか…」
「拙者も、おぬしかと思ったのだ…赤いジャケットに…それに道行く女性に片っ端から耳を塞ぎたくなるような軽薄な声をかけておったゆえ…」
「ほらみなさいよ!」
もごもごと言い難そうにするあたり不二子よりも五右ェ門の良心を感じるが、それにしても酷いことを言っているのに変わりはない。五右ェ門の同意を得られた不二子は、鬼の首でも取ったかのように喜ぶが、そもそもこの一件はルパン自身にはなんの関係もない話なのである。
「ちょっと五右ェ門…」
「そりゃルパンと間違えても仕方ねぇだろ」
あんまりだろと抗議しようとしたルパンの声を遮って、次元が笑いながら言う。
「目立ちたがりの派手好きと女好きは、こいつにデフォルトで搭載されてるんだ。それをとっぱらったらルパンじゃなくなっちまう」
紫煙と共にそんな心ない台詞をずばずばと吐き出せるのは、気心が知れた相棒だからなのかそれとも普段言いくるめられることの多いことへの報復のつもりなのだろうか。
「次元までお前…」
そこで言葉を切り、ルパンは大きく大きく溜息をついた。目の前の3人の仲間をかわるがわる見つめ、いつになく真剣に問う。
「おまえら、俺様のこと一体なんだと思ってるわけ?」
人違いって凄く恥ずかしくないですか?
これもルパン様の一面なんでしょうが、とばっちりだというのに可哀想なことになってしまいました;; 最後まで読んで下さってありがとうございました!!
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