11.15.23:25 [PR] |
05.15.14:24 捧げ物2 |
ツイッター&サイトでいつもお世話になっております、先日お誕生日を迎えられた樹一さんに(勝手に)捧げます。
♪次五SSSですのでOKなら追記へどうぞ♪
ハグ!
まだ五右ェ門が仲間になって間もない頃だ。前後の状況もどんな理由があったのかもすっかり忘れたけれども、何かの拍子で五右ェ門の手に触れたことがある。
意図的に手に触れたというものでもない。本当に何かの拍子に手が当たった、という程度のものだったはずなのだが。
「拙者に触れるな」
ものすごい勢いで手を振り払われ、睨まれたのを覚えている。
世界一の剣豪、石川五右ェ門の名は伊達ではない。気の弱いものならその視線だけで射殺されそうなぐらいに冷たく鋭い視線と、鋭利な殺気。今にも刀を抜き放たんばかりの剣幕は、さすがの俺でも少々背筋が凍るほどだった。
「…わりぃ」
その時は気の利いたことも何も言えるわけもなく、ただただ平謝りしたのを覚えている。
それからもうしばらくして。何度も一緒に仕事をして、もう少し打ち解けた頃だ。
あれは確かルパンに頼まれて二人で買出しに行った帰り。普段鋭敏に周りの気配を読むくせに、時に馬鹿馬鹿しいほど抜けたところがある五右ェ門は、街角を歩くうちに危うく車に轢かれそうになったのだ。
「っと危ねぇ!」
反射的に、荷物を抱えた五右ェ門の手を引いて歩道へ引き寄せる。一瞬なすがままにされていた五右ェ門だったが、はっと気付いたらしく自分の手を掴む俺の手を見詰めた。以前ものすごい剣幕で睨まれたのを思い出して、また同じことになるのではと首をすくめたのだったが。
「………忝い」
小さな声でそう呟くと、俺の手を振り払うでもなくそっと身を離した。そのまま俺のほうを見向きもしようとせず、スタスタと何事もなかったかのように歩き出す。てっきり怒鳴られるか斬りかかられるかと思っていた俺はひどく拍子抜けしたものである。
そして今。もうあれからどれぐらいの月日がたったかも定かではないけれども、互いに懸想してただの仕事仲間ではない関係になって。
「五右ェ門」
名前を呼んでその手を引けば。
「何だ」
瞑想を遮られて少しばかり不機嫌そうな声だが、五右ェ門は大人しく俺の腕の中に納まった。たったそれだけのことなのになんだか物凄く嬉しくて、自分の顔がだらしないくらいに綻ぶのが分かった。
「お主、何を笑っておるのだ」
自分の行動が笑われたとでも思ったのか、眉根を寄せる五右ェ門。
「んー? お前も昔は随分とんがってたよなと思って」
「拙者が? ……何のことだ」
怪訝な顔で俺を見上げてくるからそれもまた笑ってしまった。こいつはいつだって真っ直ぐ一生懸命で、自分が変わっただなんて露ほども思ってねぇんだろうな。
それには答えずにわしゃわしゃと頭を撫でていたら手を振り払われた。
「何をするのだ馬鹿者」
「顔、赤ぇぞ」
言えば一層赤い顔になった五右ェ門にまたも馬鹿者と一喝される。それでも腕の中から逃げようとしないんだから。緩む顔を隠しもせずに俺は幸せを抱きしめるんだ。
Fin.
Happy Birthday dear 樹一!
押し付けたくせにこんな程度ですみませんwww
お目汚し失礼しました!
♪次五SSSですのでOKなら追記へどうぞ♪
ハグ!
まだ五右ェ門が仲間になって間もない頃だ。前後の状況もどんな理由があったのかもすっかり忘れたけれども、何かの拍子で五右ェ門の手に触れたことがある。
意図的に手に触れたというものでもない。本当に何かの拍子に手が当たった、という程度のものだったはずなのだが。
「拙者に触れるな」
ものすごい勢いで手を振り払われ、睨まれたのを覚えている。
世界一の剣豪、石川五右ェ門の名は伊達ではない。気の弱いものならその視線だけで射殺されそうなぐらいに冷たく鋭い視線と、鋭利な殺気。今にも刀を抜き放たんばかりの剣幕は、さすがの俺でも少々背筋が凍るほどだった。
「…わりぃ」
その時は気の利いたことも何も言えるわけもなく、ただただ平謝りしたのを覚えている。
それからもうしばらくして。何度も一緒に仕事をして、もう少し打ち解けた頃だ。
あれは確かルパンに頼まれて二人で買出しに行った帰り。普段鋭敏に周りの気配を読むくせに、時に馬鹿馬鹿しいほど抜けたところがある五右ェ門は、街角を歩くうちに危うく車に轢かれそうになったのだ。
「っと危ねぇ!」
反射的に、荷物を抱えた五右ェ門の手を引いて歩道へ引き寄せる。一瞬なすがままにされていた五右ェ門だったが、はっと気付いたらしく自分の手を掴む俺の手を見詰めた。以前ものすごい剣幕で睨まれたのを思い出して、また同じことになるのではと首をすくめたのだったが。
「………忝い」
小さな声でそう呟くと、俺の手を振り払うでもなくそっと身を離した。そのまま俺のほうを見向きもしようとせず、スタスタと何事もなかったかのように歩き出す。てっきり怒鳴られるか斬りかかられるかと思っていた俺はひどく拍子抜けしたものである。
そして今。もうあれからどれぐらいの月日がたったかも定かではないけれども、互いに懸想してただの仕事仲間ではない関係になって。
「五右ェ門」
名前を呼んでその手を引けば。
「何だ」
瞑想を遮られて少しばかり不機嫌そうな声だが、五右ェ門は大人しく俺の腕の中に納まった。たったそれだけのことなのになんだか物凄く嬉しくて、自分の顔がだらしないくらいに綻ぶのが分かった。
「お主、何を笑っておるのだ」
自分の行動が笑われたとでも思ったのか、眉根を寄せる五右ェ門。
「んー? お前も昔は随分とんがってたよなと思って」
「拙者が? ……何のことだ」
怪訝な顔で俺を見上げてくるからそれもまた笑ってしまった。こいつはいつだって真っ直ぐ一生懸命で、自分が変わっただなんて露ほども思ってねぇんだろうな。
それには答えずにわしゃわしゃと頭を撫でていたら手を振り払われた。
「何をするのだ馬鹿者」
「顔、赤ぇぞ」
言えば一層赤い顔になった五右ェ門にまたも馬鹿者と一喝される。それでも腕の中から逃げようとしないんだから。緩む顔を隠しもせずに俺は幸せを抱きしめるんだ。
Fin.
Happy Birthday dear 樹一!
押し付けたくせにこんな程度ですみませんwww
お目汚し失礼しました!
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