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07.23.00:00 7/23 溶けかけた |
365日のお題【7/23】です。
(お題についての詳細はこちらをご覧下さい)
お題:溶けかけた
・ル次
・若干大人な感じ?甘々かな
OKでしたら追記へどうぞ
「あ"ーっ…あ"ぢぃよぉお………」
風も吹かない真夏の午後。タンクトップにトランクスという恰好で床に寝そべるルパンが、今にも死にそうな声で唸った。
「じげぇん、エアコンまだ直んねぇのかぁ?」
「もう少し待てって」
「えー俺様死んじまうー」
「俺だって必死で直してるんだ、ごちゃごちゃ言わずに大人しく待ってろ!!」
突然調子の悪くなったエアコン。修理を頼もうにも近場の街まで3~4時間もかかる辺鄙なこのアジトでは、店員が来るのを待っている間に日が暮れてしまう。そこで、じゃんけんで負けたほうがエアコンの修理をしようということになったのだが、負けたのは次元のほうだった。スパナを片手に、次元は捲り上げたワイシャツの袖で噴き出す汗を拭う。ぐっしょりと張り付くシャツが気持ち悪いが、ルパンのように下着姿になろうとは思わない。
「あちぃ…なー次元、アイス喰うか?」
「ぁあ? 俺はビールの方がいい」
「じゃあ後でだな」
「何で」
「さっさと修理終わらしてもらわねぇと困るもん」
ぺたぺたと足音をさせながら出て行ったルパンが、冷凍庫からアイスキャンディーを取り出して戻ってくる。部屋の隅で申し訳程度に風をかき混ぜる扇風機の前に陣取ると、袋から取り出したそれを咥えた。
「あーつめてぇー美味い!」
「よくそんな甘いもん喰うな」
「へっほーうまひへ? おまへもふう? (結構美味いぜ? お前も喰う?)」
「何言ってるかわかんねぇよ。おら、済んだぞ」
パタン、と、エアコンのカバーを取り付け、苦笑しながら振り返る。視界に入るのはこちらを見やりながらアイスを舐めるルパンの口元。ちらりと覗いた赤い舌がアイスを溶かし、唇についたそれをぺろりと舐める。
それを見たら、何故だか視線が外せなくなった。
「サンキュー!! ってどったの? 喰う?」
ほい、と食べかけのそのままを差し出される。溶けたそれがぽたりと床に垂れた。
「喰わねぇの? 溶けちまう」
再びルパンの口に戻ろうとしたそれを引き、自分の口内に招きいれた。齧った途端、口中に広がる甘い味。口の端から溶けて流れるのに慌てて、舌を使って下から舐め上げた。
くすっと正面から笑いが聞こえた。
「甘ぇ…」
「次元ちゃんてば、超エロい」
「…エロいのはお前の思考だ、莫迦」
「あれぇ? 俺と同じこと考えなかったとは言わせねぇぜ?」
口の中に残る頭痛がするような甘さに顔をしかめ、次元は思わず食べてしまった自分に溜息をつく。
「…俺たちもアイスみたいに溶けちゃわない?」
「このクソ暑いのに何言ってやがる」
言いながらも、再びアイスを咥えたルパンの口元から眼が離せない。
「だってもう暑くて溶けちゃってるもん。これ以上溶けたところで何にも問題はないでしょ?」
いつの間に手にしたのか、リモコンを手にエアコンの電源を入れる。調子を取り戻したエアコンはブウンと低い音をたてて動き出し、が徐々に冷たい空気を吐き出し始めた。
「な?」
アイスを食べ切り、ルパンはぺろりと唇を舐める。そしてそのまま濡れた唇で笑った。
「…負けるよ、お前には」
苦笑しながら開けっ放しだった窓を閉め、そして次元はカーテンを引いた。
何を考えてるかなんて、ルパン様にはお見通しですよv
読んでくださってありがとうございました!
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