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某泥棒三世を愛する管理人による日々語り。腐的内容を含むことがあるので、ご注意ください。
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11.16.05:41

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  • 11/16/05:41

07.22.00:00

7/22 価値のわからない

365日のお題【7/22】です。
(お題についての詳細はこちらをご覧下さい)

お題:価値のわからない

・今日もカプなし仲良しファミリー
・短めです

OKでしたら追記へどうぞ
 




 テーブルの上に転がる石ころと、それを見つめる男女が3人。皆一様に眉間に皺を寄せ、腕組みをしてその石ころを睨みつけるようにして黙り込んでいる。

「…で、これはなんなんだ」

 沈黙を破って最初に唸ったのは次元だった。テーブルの上の石をつつきながら溜息を漏らす。
 石の大きさは、大人の握りこぶしぐらいだろうか。河原の石のような丸いフォルムの、どこにでもありそうなただの石ころだ。それが、さも意味ありげに赤いビロードの布台座の上に鎮座しているのだから、次元でなくても「何かあるのか」と思いたくなるというものである。

「拙者が朝起きた時にはもうここに置いてあったぞ」

 思案気な顔つきで言う五右ェ門。ということは、ここにこれを置いたのは五右ェ門ではないということだ。

「こんな汚い石をこんな大事そうにして。これが石じゃなくてダイヤモンドだって言うんならわかるけど?」
「絶対お前じゃねぇな。金目のものでもないのにお前が大事にするわけがねぇ」

 皮肉っぽく笑った次元を不二子が半眼で睨みつける。

「なんですってぇ?」
「やめぬか」

 五右ェ門に諌められ、二人は口を閉じた。いずれにせよ、こんな突拍子もないことをするのはあの男以外にはないわけだ。
 と。

「あらどったの? 3人ともそんな難しい顔しちゃってさぁ」

 マグカップを片手に通りかかったルパンが、顔を突き合わせて石を見つめる3人を見つけて近寄ってきた。

「おい、ルパン、これは何だ? お前だろ? こんなところに置いたの」
「拙者たちにはどうやってもただの石ころにしか見えぬのだが」
「なのにこんなに大事そうにしちゃって。何か凄いお宝なわけ!?」
「ちょ、ちょ、ちょっとお前ら落ち着けって」

 真剣な顔をした3人に勢いよく詰め寄られ、ルパンは目を白黒させる。


「「「ルパン!!!」」」


「たく、分かった分かったって!!」

 ぎゃあぎゃあと喚く仲間を諌めつつ、ルパンはテーブルに近寄る。

「あのね、見りゃわかるでしょ、これはただの石ころよ?」
「「「…は?」」」

 飄々としたルパンの台詞に、呆けたようになる3人。

「世界一高いビルの最上階の部屋にあった観葉植物の鉢植えの中にあった石ころ。どうだ、凄いだろ?」
「はぁ?」
「え、じゃあこれがお宝の鍵になるとかじゃ…」
「ないよ? なんで?」

 キョトンとした顔になるルパンに、3人は大きく肩を落とした。本当にこの男の思考回路は分からない。時にその裏側にさらに大きな宝があることもあるが、盗んだものより盗む過程が重要と言い切るだけあって、盗んだものそのものに意味のないことも多い。昔、マーク・ウイリアムという変なものばっかり盗む泥棒がいたが、意味のなさではルパンもかなり大差ないかもしれない。

「これの価値が分からないなんて、お前らもまだまだだね」

 何故だか自慢げに胸を張ってみるルパンだが、それを尻目に3人は大きく溜息をついた。

「…石ころの価値なんて一生分かりたくないわ」
「…今回ばかりはおめぇに同感だ」
「…拙者、修行をしなおしに行って参る」



ルパン様はくだらないものを盗むことにこそ命を懸けそうだと思います。

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