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某泥棒三世を愛する管理人による日々語り。腐的内容を含むことがあるので、ご注意ください。
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11.16.00:32

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  • 11/16/00:32

08.01.00:00

8/1 蝉の一生

365日のお題【8/1】です。
(お題についての詳細はこちらをご覧下さい)

お題:蝉の一生

・次五
・ぬる甘…?
・相変わらずワタシの趣味がにじみ出てる気が…

OKでしたら追記へどうぞ
 




 朝からジィジィと鳴き続ける蝉の声が体感温度を上昇させる気がするのは次元だけだろうか。

「…ったく朝っぱらからうるせぇなぁ、ゆっくり昼寝もできやしねぇ。耳栓でもしときたいくらいだぜ」
「まぁそう言うな。蝉とて懸命に生きておるのだぞ?」

 寝転がったソファの上でやれやれと溜息をついた次元を、向かいに座る五右ェ門が苦笑交じりに諌めた。

「儚い命だもんな。子孫を残すのに必死なんだろ」

 伴侶を得るためのアピール。子孫を残すためにはより魅力的に鳴かないといけないのだろうか。残念ながらその鳴き声を聞き分けられない人間にとっては、ただの騒音にしか聞こえない。

「儚い…そうだな…知っておるか次元、蝉は成虫になるまでに何年もの間地中で生活をしておるのだぞ」
「それは聞いたことがあるけどな」
「そこで今鳴いておる油蝉など、6年も地中にいるのだそうだ」
「6年!? 虫ってのはこう…もっと寿命が短いもんだと思ってたけどな?」

 数日からせいぜい数週間。どんなに長くても数ヶ月というところだろう。数年というのが本当だとしたら、儚いどころか哺乳類よりもたくましいと言えるかもしれない。ネズミなんかのほうがよほど寿命は短いのではないだろうか。

「何年も土の下で耐え忍んでから地上に姿を現し、羽化して成虫になるのだ」
「へぇぇ、だとしたらすげぇ大器晩成型だな」
「そうかもしれぬな」

 人生の終わりこそを華々しく。そう思ったら、一番の晴れ舞台にいる蝉に『うるさい』と文句をつけるのも悪いような気がしないでもない。

「おぬしは、どんな人生を送りたい?」

 ふとそんなことを五右ェ門が口にした。

「どんなねぇ」

 よっこらせとソファの上に起き上がり、次元は少し思案気な表情で五右ェ門を見やる。

「おまえは?」
「拙者は…蝉のような人生も悪くはないと思う」

 逆に問い返されて、五右ェ門も同じ様に思案気な表情を見せた。人生の最期を華々しく。なるほどそういえば初代石川五右ェ門も、三条河原で釜茹でにされるなんていうある意味華々しい最期を飾ったものだ。それにでかい事を遺して死にたいというのは、ある意味男の共通願望かもしれない。

「だが今がすでに波乱万丈だからな、誰のせいとは言わぬが。今更蝉のような人生など望めるはずもなかろう。苦境に耐え忍ぶ姿は学ぶべきやも知れぬが」
「ったくお前は真面目だな」

 真面目な顔をしてそんなことを言う五右ェ門に次元は苦笑する。だが確かにルパンと共にいる限り平穏な人生が待っているとも思わないし、そういう人生が似合わなくなってしまっている自覚はある。

「おぬしはどうなのだ」

 再び問われ、次元は煙草を咥えながら笑う。火を点ければいつもの香りが紫煙となって部屋に広がった。

「俺は別に今のままで充分だけどなぁ?」
「拙者には聞いたくせに」
「だって本当だからな」

 これ以上何を望むというのだ。

「それなりにやりがいのある仕事があって、たまに美味い酒が飲めて、頼れる仲間がいて、そして」

 ひょいと伸ばした手で五右ェ門の顎に手をかけた。

「可愛い恋人がいて。それで充分だろ」

 真面目な顔でその黒い瞳を見つめれば、見る見るうちに五右ェ門の顔が朱に染まっていく。

「ば…おぬしという奴は!」

 次元の手を払い落としてぷんぷんと部屋を飛び出して行った五右ェ門の背中を見ながら、次元はくすくすと笑った。

「俺は俺の人生でいいのさ。なぁ?」

 窓の外に向かって誰にともなく呟いた言葉に答えるかのように、また蝉がジィジィと鳴き始めていた。



なぜか次五にはこういう人生観とかを語らせたくなる…何故だ…
相変わらず手探りですすみません、よかったら感想などもお聞かせくださいv
最後まで読んでくださってありがとうございました!!!

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