11.16.07:58 [PR] |
08.11.00:00 8/11 汗 |
(お題についての詳細はこちらをご覧下さい)
お題:汗
・ル次でもル+次でもどちらでも^^
・短いです…
OKでしたら追記へどうぞ
「あーくそ。何で俺達が穴掘りなんかしなきゃいけねぇんだー」
今日何度目になるだろうボヤキを次元は溜息と共に吐き出す。薄暗い穴の中に少し不気味に声が響く。地下鉄の沿線からこつこつとあけた横穴にルパンと次元の2人はいた。
「次元~苛々すんのは分かるけど穴の中で煙草はやめろよ?」
「わーってるよ、よく見ろ火ぃ点いてねぇだろうが」
咥えた煙草の端を噛み、また大仰に溜息をつく。
いくら地底が地上より涼しいとは言っても、動けばそれなりに汗だってかく。額を流れ落ちる汗を作業着の肩口で拭い、スコップを放り出して土砂の上に座り込んだ。
「おい次元~頼むよ~」
「もっと楽な方法はなかったのかよ?」
「言っただろ? 今回の仕事にはこの方法が最適なんだよ」
つるはしにもたれかかりルパンが苦笑する。
「俺だってんなことしたくねぇっけっどもがよぉ」
ターゲットはとある銀行に収められている世界最大と謳われるダイヤ。下調べの結果地上からの潜入はほぼ100%不可能ということがわかり、このような原始的な方法に出ることになったのである。掘削機なんかを使えばもっとラクなのだろうが、それでは音が大きすぎて見つかってしまう可能性が高い。おかげでスコップにつるはしなんていう超原始的な作業を強いられているのだ。
「たまには地味に汗水流して真面目に労働するってのもいいもんじゃないの?」
「はっ、世界一真面目なんて言葉が似合わねぇお前がか? よく言うぜ。ま、お前は1日5分でいいから真面目になったほうがいいけどな」
芝居がかった口調のルパンを呆れたように鼻先で嗤う。
「言ってくれますねぇ、次元ちゃん」
しかしルパンの方もそれを分かっているからケタケタと笑う。
「でもよぉ」
ふと真面目な顔になったルパンが次元を見る。
「真面目な話、俺が泥棒じゃなくなってさ」
「あん?」
ルパンの言葉の意図が分からず眉根を寄せる次元。
「真面目に道路工事かなんかの仕事しながらお前と暮らしたいとか言ったらどーする?」
額を流れる汗を軍手で拭いながらルパンは笑う。その顔からはその言葉が冗談とも本気とも取れなくて。
「…はっ」
咥えていた煙草を指先で弾いて放り出し、次元は参ったとでも言うように軽く両手を挙げてみせる。
「俺が悪かったって。んなお前なんか見たくもねぇや」
スコップを片手に立ち上がり、やれやれとまたぼやきながらも土砂を運び始めた。
「…おめぇだって、んな俺なんか見たくもねぇだろ」
ルパンに向けた背からぼそりとそんな声が聞こえた。
「…違いねぇや」
背中合わせのまま笑う声が、地下の空洞に響いていた。
書いてアップする直前になって思いました。
もうこれってプロポーズだよね旦那さん!←
最後まで読んで下さってありがとうございました!!
- トラックバックURLはこちら