11.16.17:28 [PR] |
08.14.00:00 8/14 空に憧れて |
(お題についての詳細はこちらをご覧下さい)
お題:空に憧れて
・次→五
・片想いというほどのものでもないですかなりファミリーに近いです
・仲間になりたての五右ェ門にふとしたときに感じた感情
OKでしたら追記へどうぞ
ふつーに間に合いませんでしたごめんなさい;;
十三代目石川五右ェ門。旧態依然とした侍がルパン三世の仲間になって苦労したことは何か。それは、彼らと共に仕事をする以上避けては通れない問題だった。
「てことで五右ェ門。今日からお前にはありとあらゆる乗り物の運転をマスターしてもらうことになる」
ある日突然ルパンから突きつけられた難題。思わず『拙者がやらねばならぬのか』と聞き返してしまったのも無理はないと思う。
「おぬしも次元も不二子も運転出来るのだから問題ないではないか?」
「何言ってるの。出来ないより出来た方が計画を組むのに楽に決まってるじゃないの。お前が運転できないからってこの間の仕事だってほぼ完成してた計画を組みなおしたんだし?」
「それはそうだが…」
かくて特訓は始まった。最初は普通の車。それが徐々に大きくなり、そのうちには戦車のような特殊なものから、船、プロペラ機からジェット機とあらゆるものの操縦を一通りマスターすることになったのである。
「実際使うかどうかは別問題。でも覚えといて損はないからね」
にっこり笑うルパンが悪魔のように見えたのは言うまでもない。
*
「…なんだこんなところにいたのか」
休憩中に姿の見えなくなった五右ェ門を探していた次元は、アジトの裏手で一人静かに瞑想する五右ェ門を見つけた。次元が声をかけるとゆっくりと薄目を開いて鋭い視線を送ってくる。
「…何用だ」
「そろそろルパンが始めようってよ」
「そうか…」
少し憂鬱そうな顔色を見せる侍に、次元は小さく苦笑する。刀を振るうことしかしてこなかった侍にはなかなかの苦難だと思うが、一緒に仕事をしていく上では仕方のないことだ。
「次元」
「何だ?」
何かもの言いたげな顔つきのまま、思案げに空を見上げて五右ェ門は黙り込む。それを見て次元はふと、こいつでもこんな顔をすることがあるのだな、と思った。
「何だよ?」
「…拙者、幼い頃に空が飛べたらいいと思っておったことがある」
鳥のように自由に飛べたらとな。突然そんな昔語りをはじめた五右ェ門に、次元はただ黙って言葉を待つ。
「…だが実際に自分が空を飛ぶようになるとは夢にも思っておらなんだよ」
苦笑を漏らしたその横顔からなぜか目が離せなかった。少し眩しそうな風に歪んだ顔がとてもとても印象的で。とっつきづらくて頑固で寡黙な侍の、違う顔を見た気がした。
「…慣れたら結構楽しいもんだぜ?」
そんな横顔から無理矢理視線を逸らすようにして帽子を目深に被りなおし、次元は踵を返した。
「ルパンが待ってる。早く来いよ」
「あいわかった」
人間が空を飛びたがるのは、自分にはない翼を持った鳥に憧れているからかもしれない。だとしたらきっとこの感情も、自分とは違う顔を見せる仲間への憧れの気持ち。その真意に気付くことになるのはまだかなり先の話。
そういえば片想い話も久しぶり。
くっつく前の、恋情を自覚するかしないかくらいのもやもやした話は結構好きですv
遅れてすみませんでした;;
最後まで読んで下さってありがとうございました!!
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