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08.15.00:38 8/15 死した魂が |
(お題についての詳細はこちらをご覧下さい)
お題:死した魂が
・ル+五
・ちょっと珍しい組み合わせです
・お盆だしご先祖様のお話
OKでしたら追記へどうぞ
ふつーに間に合いませんでしたごめんなさい;;
「ルパン。拙者、2~3日留守にするがよいか」
五右ェ門の言葉に、分厚い本に目を通していたルパンがひょいと顔をあげた。
「いいけどどったの?」
「盆だからな。先祖の墓参りに行きたいのだ」
言われて、ルパンはポンと手を叩く。
「そういやそだなぁ」
こういう稼業をしていると暦にもあまり頓着しなくなってくるし、なにより日本の文化に染まって育ってきたわけでもないからそういう概念がすっかりなくなっていたのである。
「よいか?」
「別に差し迫った仕事もないから大丈夫だぜ~ゆっくりご先祖様孝行してきなよ」
ひらひらと手を振りながら再び本に視線を落とすルパンに、五右ェ門はふと問いかけた。
「そういえば…おぬしは墓参りなんかはせぬのか?」
「へ?」
五右ェ門に問われて、ルパンは驚いたような顔になる。そしてまた、「そういやそだなぁ」と繰り返した。
「じっちゃんの墓参りとかいつ行ったきりかなぁ…」
「盆は死した魂がこの世に戻ってくる日だ。きちんと迎えて送らねば迷い出るやもしれぬぞ?」
「げ、それは勘弁」
冗談めかして言った言葉にルパンはあからさまに顔を顰める。ルパンが唯一この世で苦手なものが在るとしたら、それはおそらく祖父と父親だろうと五右ェ門は密かに思っていた。
「…たまには顔を見せてもよいのではないか? 差し迫った仕事がないのならばなおさらだ」
「そうだなぁ~」
浮かない顔というわけでもなく、かといって乗り気というわけでもなく、ルパンは「そうだなぁ~」とぼやく。
ルパンも五右ェ門も先祖からの名前を引き継ぐものである。好むと好まざるとに関わらず、背負わされたものもあるはずである。目の前の男にだって子供だったことはあるのだし、悩んだことはないのだろうか。ふとそんなことを聞いてみたくなった。
「…著名な先祖を持つと苦労せぬか?」
「うーん、そうだなぁ~」
「この名前を嫌だと、重いと思ったことはないか?」
悩むことはないのだろうか、迷うことはないのだろうか。そんな姿は常のルパンからは想像もつかないけれど。
「うーん、だってさ、俺は俺だもん」
けろっとした顔で、ルパンは五右ェ門を見上げてきた。
「ガキのころはそりゃいろいろ悩んだりもしたけどさ」
ちょっと恥ずかしそうに笑う。だがその屈託無い笑顔には、今はもうひとかけらの迷いもないことが伺えた。
「じっちゃんはじっちゃんだし、オヤジはオヤジだし、俺は俺だもんな。あるときふっとそう思ってさ」
言葉を見つけられずに立ち尽くす五右ェ門に向かって、にっとイタズラっぽく笑ってみせた。
「俺様はルパン三世。これまでもこれからも唯一無二の存在よ?」
「…訂正だ、ルパン」
「はい?」
「拙者ついでにひと月ほど修行して参る」
「え? ちょっと待てよ五右ェ門!」
ルパンが慌てて声をかけるが、五右ェ門はそれに答えることなくくるりと踵を返した。
「拙者まだまだ修行が足らぬ」
今のままではルパン様に"勝てない"と思ったようです^^
ゴエはそんな、自分とは全く違うルパン様の考え方や行動に惹かれて一緒に居るんじゃないかなと思います。
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