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某泥棒三世を愛する管理人による日々語り。腐的内容を含むことがあるので、ご注意ください。
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11.15.22:04

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  • 11/15/22:04

08.20.00:00

8/20 風鈴の音を耳にして

365日のお題【8/20】です。
(お題についての詳細はこちらをご覧下さい)

お題:風鈴の音を耳にして

・五右ェ門
・夏ですからちょっとした怪談話でも
・全然怖くないですむしろ心温まる感じ?

OKでしたら追記へどうぞ




 ちりん…
 夜中、風鈴の音で目が覚めた。蚊帳越しに見上げた月のない夜空にはまだ星が煌々と輝いていた。夜になっても気温は下がらず相変わらず暑苦しい。それでも少し気温が下がり始めたのか、近くの草むらから虫が小さく鳴くのが聞こえた。

(気のせいか…?)

 風鈴の音に交じって、僅かに人の気配を感じた気がしたのだ。緊張が高まり、無意識に五右ェ門は枕元においた刀に手をやる。
 ちりん…
 また、風鈴が鳴った。しかし風鈴の吊るされた縁側には風の気配など微塵も感じられない。

「…誰だ!」

 部屋の隅の闇に向かって誰何の声を上げる。別室で休む仲間とは違う気配。敵か。一瞬そう思うが、その気配には攻撃的な気配はない。 と。
 ぼぅっと気配のするところが発光を始めた。

「…まさか…」

 最初ルパンにこのアジトに連れてこられたときからあまりいい感じはしていなかったのだ。"何か"が居る気配。3人の中では一番霊感のある自分だからこそ分かる程度の薄い気配だったが、確かに何かが居た。が、実際に目の当たりにすると信じたくないのが人間というものである。それに慣れてはいてもあまり心地の良いものではない。

「…おぬし…なにものだ」

 徐々に人の形を取り始めた光りは、やがて愛らしい女の子の姿に変わった。7~8歳くらいだろうかおかっぱ頭に赤い着物の女の子。その足元はぼんやりと掠れたままという、実にステレオタイプな幽霊である。
 とりあえず自分に危害を加えそうな気配はない。五右ェ門はそっと蚊帳を捲り上げると幽霊の前に出て正座する。

「おぬし、拙者に何用だ?」

 静かに語りかけると女の子はにっこりと微笑み、持っていた鞠を五右ェ門に差し出した。

「何だ。遊びたいのか?」

 手を出して鞠を受け取ろうとした五右ェ門だったが、鞠はすとんと五右ェ門の手を通過して畳の上を転がっていった。この世のものでないものをこの世のものが手にすることは出来ない。五右ェ門が鞠に触れられないのだ分かった女の子は酷く哀しそうな顔になる。

「そんな顔をするではない。折角の美人が台無しではないか」

 触れられないが伸ばした手で女の子の頭を撫でた。女の子も手を伸ばして五右ェ門の手に触れる。決して触れ合えないはずの2人なのに、目の前にいるのはこの世のものならざる幽霊だというのに、なぜか五右ェ門は少女の体温を感じた気がした。

「おぬしは寂しかったのだな」

 ずっと独りでここにいたのだろう。気付いた人が居なかったわけではないだろうが、だれも少女の声に耳を傾けようなどとはしなかっただろう。

「案ずるな。あの世にはおぬしの知り合いもおるだろう」

 優しく笑いかけた瞬間。
 ごぉおおっと強烈な風が吹いた。風鈴が吹き飛ばされそうな勢いで揺れ、がちゃがちゃと耳障りな音をたてた。
 思わず目を閉じた五右ェ門が次に目を開けたときには目の前には何もおらず、部屋の隅の畳の上には小さな赤い鞠が転がっていた。

「無事辿り着けただろうか」
 ひとりごちた五右ェ門の耳に、またちりんと風鈴が鳴ったのが聞こえた。

                      *

「ルパン、昨夜何か変わったことはなかったか?」

 夜があけて。起き出してきたルパンに問うと、ルパンは怪訝な顔を五右ェ門に向けた。

「いいや? どったの?」
「…ならばよい」
「…変な奴」

 昼間の暑い風に吹かれ、ちりちりと風鈴が涼しげな音をたてていた。

 



ホラー大嫌いな秋月が幽霊を書くと、こうなります。
ゴエって幽霊に好かれそう←

最後まで読んで下さってありがとうございました!!
 

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