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某泥棒三世を愛する管理人による日々語り。腐的内容を含むことがあるので、ご注意ください。
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  • 11/17/15:31

09.10.01:20

9/10 正論を振りかざす

365日のお題【9/10】です。
(お題についての詳細はこちらをご覧下さい)

お題:正論を振りかざす

・次+不
・本日はルパン様出てきません…
・ファーコン設定シリアス風味
・馴初め話…かな…
・ちょっと長めです
・9/6~は続き物になります!!単発でも読めなくもないとは思いますがよければそちらからご覧下さい♪

それでもOKでしたら追記へどうぞ
次五を楽しみにしてる方、申し訳ありません;;



「…なんであんたがここにいるのよ」
「うるせぇ。お前こそなんでこんなとこに居るんだ」
「アタシだって仕事仲間よ。アジト使うのに何の文句あるの?」
 狭いアパートの一室にある隠れ家。何故かそこには次元と不二子が酷く不機嫌そうな様子で顔を突き合わせていた。
 アジトにいるのが居たたまれなくて朝早くに出てきた。出かけるときにすれ違った五右ェ門が怪訝な顔を見せていたのを思い出す。ああ見えて妙に敏いところがあるから、もしかしたらもう自分達が喧嘩しているのだって気がついているかもしれない。

「ルパンと喧嘩してアジトを出てきたの? ルパンに言われたことが気になって寝れなかったみたいね。酷い顔」
「お前には関係ねぇだろ」

 チラリと帽子の下から覗いた目元にくっきりと隈が残るのを見止めて不二子が小さく笑う。そんな様子にさえ苛々しながら次元は煙草に火をつけた。
 不二子の言うとおり昨夜は一睡も出来なかった。心に突き刺さった言葉は今もじくじくと次元の心を痛めつけていた。その痛みを紛らわそうとでもするように煙草をふかす。

「ええ、関係ないわ。勝手にして。アタシも勝手にするんだから」

 そういうと不二子はおもむろにバッグから携帯電話を取り出してコールを始める。

「…ハァイ、ルパン? 今どこにいると思う? そ、近くのアジトに来てるの。仕事の計画は順調かしら?」

 通話口からはルパンの声は聞こえてこない。むしろ聞こえなくて良かったと思う。聞こえればまた、とげの突き刺さった心は血を流し始めていただろう。

「さすがルパンね。…でもアタシというものがありながらあのお姫様に近づいたのはどういうこと?」

 少し拗ねたような口調。その内容に次元の身体がビクッと強張る。

「そんなこと聞いてないわ。女の趣味落ちたんじゃないのルパン? アタシのこと放ったらかしにしてあんな子供みたいな女相手にするなんて。後でたっぷり言い訳聞かせてもらうから。じゃね♪」

 一方的に喋って通話を切る。

「は、女の嫉妬ってのは怖ぇな」

 煙草を咥えたまま唇を歪めてみせる。精一杯の皮肉のつもりだった。だが。

「ええ、女の嫉妬は怖いの。…けど男の嫉妬は醜いわよ? 次元」

 背筋が凍りついた。

「な…にを…」
「アタシが気付かないとでも思ってるの? 女の勘を舐めない方がいいわよ。喧嘩の原因は昨日の新聞記事でしょ?」
「はっ…なんで俺が…」

 煙草を持つ指先がかすかに震えた。それを気取られないようにしながら帽子の下の泳ぐ視線を隠す。

「ルパンがあのお姫様に近づくことを知らされてなかったのがそんなにツライ?」

 ふふっと笑いながら不二子は取り出したメンソールに火を入れる。甘い煙草に交じってミントの香りが部屋に広がった。何も言い返せない。ただ背中を伝い落ちる冷たい汗が酷く気持ち悪かった。

「アタシはね、相棒になっただけで彼の全てを知ってる気になってるあなたを見てると苛々するの」

 トンと煙草の灰を落として気だるげに髪をかきあげる。そんな仕種も酷く絵になる。

「あなたはルパンの何を知ってるの? 彼が考えてることを一度でも理解しようとしたことがあるの? 彼が相棒に自分を選んでくれたからってそれが全てだと思ってるの?」

 矢継ぎ早に浴びせかけられる質問に、次元はひとつも答えられないでいた。全てが正論で、だからこそ反論できない。あまりにも痛いところを突かれて全身からすうっと血の気が引いていく。そして傷ついた心をさらに抉っていく。

「彼がどれだけあなたのことを考えてるか知らないでしょう?」
「…なんでお前にそんなことが分かる…」
「言ったでしょう? あんまり女の勘を舐めない方がいいわ」

 振りかざした言葉を降ろすことなく、不二子はぴしゃりと言い放つ。

「アタシが手に入れられないものを全部持ってるくせにそれに気付こうともしないで、自分から何も伝えようとしないで与えられるものを待つばかりで、それでいて全てが欲しいなんて我侭で物欲しそうな顔をして…あなたなんか大嫌いよ」

 煙とともに吐き出された言葉が重く圧し掛かる。奇妙なまでの静寂が部屋を包んだ。

「…俺は…っ」

 次元が口を開きかけたとき、不二子の携帯電話が鳴った。

「…わかったわ、場所は例の所? すぐ行くわ」

 言葉少なにそれだけ言うと通話を切る。

「仕事よ、次元」

 



芯が強くて女らしくて誰よりルパン様が大好きなそんな不二子ちゃんが好きです。
そしてそんな不二子ちゃんに翻弄される次元さんも(笑)
この2人の仲の悪さは同属嫌悪に近いところもあるんじゃないかなぁと思うことがありますv

最後まで読んで下さってありがとうございました!!!
 

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