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某泥棒三世を愛する管理人による日々語り。腐的内容を含むことがあるので、ご注意ください。
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11.16.08:22

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  • 11/16/08:22

10.01.03:14

9/30 永遠に思える時間

365日のお題【9/30】です。
(お題についての詳細はこちらをご覧下さい)

お題:永遠に思える時間

・次五
・甘えたがりのゴエ、を目指しましたが…ごにょごにょ…
・ちゅー有り

それでもOKでしたら追記へどうぞ
もう10月なっちゃったよーん(´;ω;`)


 他人に触れられることに慣れない身体が、伸ばされた手に反応して小さくすくんだ。自分がビクリと身体を硬くしたことに一瞬手を止め、目の前の男が小さく眉を顰めた。

「…そんなに怯えるなよ」

 俺が悪いことしてるみてぇじゃねぇか。苦笑とともにそう囁かれて、慌てて意図的に身体の力を抜くことに専念する。
 力を抜いた五右ェ門に安心したのか大きくてごつごつとした手が再び伸びてきた。その男らしい手を視界の隅に入れて少しだけ羨ましさを覚える。自分の手も決して女性的というわけでもないが、男らしいとまでは言えないのが密かなコンプレックス。尤もそれは手だけに限らないが。
 熱を帯びた手が肩に触れ、もう片方の腕が柔らかく身体を引き寄せる。嗅ぎ慣れたはずの甘い煙草の香りに男の体臭が交ざる。息がかかるほど近くに抱き寄せられ、男の鼓動さえも聞こえそうなくらいだが、実際には跳ね上がる自分の鼓動のせいでひとつも聞こえなどしない。緊張のあまり呼吸さえもままならなくなるのもいつものこと。

「ん? どうした?」

 甘く促すように覗き込まれて、自分も普段は帽子の下に隠された男の顔を覗き返す。
 柔らかいくせに獰猛で、笑っているくせに冷たくて。そんな不思議な色合いの黒い瞳が心の奥底まで見透かそうとする。その眼を見つめるだけでくらくらして、平衡感覚もなにも失って男のなすがままにされてしまう。

「…五右ェ門」

 甘い声で名前を呼ばれた。自分の名前を紡ぐ、少し厚い唇が近寄ってくる。
 焦点が合わないほどに近くなってくる男の顔に酷く居たたまれなくなって、五右ェ門はぎゅうと力いっぱい眼を閉じた。同時に意図的に抜いていたはずの身体の力も元通りになるがどうしようもない。
 この瞬間が五右ェ門は一番苦手だった。緊張と期待がない交ぜになる瞬間。決して唇を重ねられるのが嫌いなわけでも、もちろん男のことが嫌いなわけでもない。殺伐とした中でしか生きてこなかった自分にとって、この優しさと甘さと柔らかさは未知の世界。知らない世界に連れて行かれるこの瞬間は、一瞬でありながら五右ェ門にとって永遠にも思える時間だった。

(…まだ…か?)

 普段ならとっくに次元の唇が落ちてきてもおかしくはないぐらいに時間を置かれて。そこに確かに気配はあるものの一向に近づいてこない次元に、五右ェ門はいぶかしんで薄目を開けた。
 力いっぱい目を閉じていたせいで少し眩しい。明るさに顔を顰めながらも真っ直ぐに男を見上げれば、先ほどまでと同じ息がかかるくらいの位置で次元がこちらを見て笑っていた。

「何を…見てるのだ」

 抱きすくめられたまま憮然とした表情で問えば、次元はくっくっと喉の奥で笑った。

「いや…? お前ってホント可愛いよな、と思って」
「な…」

 思いもよらなかった次元の言葉に一瞬ポカンと拍子抜けした表情になる五右ェ門。しかし次の瞬間にはくしゃりと顔を歪めて次元を押しやった。

「おいおい、何拗ねてんだ?」

 するりと腕から逃げられて今度は次元が困惑した表情になる。その問いには答えずにそっぽを向いてソファに座り込んでいると、後ろから抱きすくめられて髪をゆるりと優しく梳かれた。

「どうした?」

 急に機嫌を損ねた五右ェ門に怒るでも呆れるでもなく。相変わらずの柔らかさで問われて、五右ェ門は渋々と口を開く。

「…おぬしは…」
「ん?」
「拙者と………」

 もぞもぞと言いあぐねていると、耳元で笑われた。

「なんだよ? 言いたいことがあるんならハッキリ言え」
「拙者と…その…キス……したくはないのか…」

 自分でも何を言っているのかよくわからなかった。面と向かっては絶対に言えなかっただろう。背中を向けたこの体制ですら、羞恥で真っ赤になっているのが分かる。

「あ? したくないわけないだろ。なんでそんなこと聞く?」

 耳元の声が怪訝な色になる。きっと眉を顰めてこちらを見ているに違いない。

「…おぬしが……拙者の顔を見ておるだけで笑っておるから…」

 確かにキスをされる瞬間が苦手だとは思っていたが、その瞬間を心のどこかで楽しみにしている自分もいた。未知の世界への期待とでもいうのだろうか。その先に次元が何を与えてくれるかも知っていたから、永遠にも思える瞬間が怖いとすら思ってもそれを拒否しようと思ったことはなかった。

「…拙者は………おぬしとキス…したい…のに…」

 永遠とも思える瞬間を共有したいと思うのは次元だけなのに。なのに、次元ほどの余裕を持って迎え入れることが出来ない自分が悔しくなる。それを切望しているのは自分だけなのかもしれないと思うとひどく哀しくなる。
 消え入りそうな声で紡がれたその言葉が終わるか終わらないかのうちに。五右ェ門は後ろから力いっぱい抱きしめられた。

「じ…次元!? 苦し…」
「…バーカ」
「ば…馬鹿とはなんだ!」

 笑いを含んだ声で囁かれて、苦しい体勢の中思わず振り返る。

 その瞬間に。

 唇を重ねられた。
 先ほどには与えられなかった柔らかさが惜しみなく与えられる。

「な…」

 息継ぎもままならないほどに思い切り貪るようにして求められ、ようやく唇を離されたところで肩で息をしながら絶句する五右ェ門。それを見て次元がまたくっくっと笑う。

「やっぱお前、すっげー可愛いわ」
「な…大の男を捕まえて可愛いとはなんだ」

 また真っ赤になる五右ェ門の髪に顔を埋めて次元が笑う。

「…お前がしたいって言うんなら、キスなんかいつだってしてやるよ」

 甘い囁きとともに、また唇が落ちてくる。
 優しく抱きすくめられて黒い瞳に見つめられ、唇を重ねられるその一瞬。その瞬間はいつだって、永遠に思える時間。

 



甘えたがりのゴエさんと甘やかしたがりの次元さんっていうのがワタシの理想なんだけど、難しいね!←
リクエストにお応えできずすみません;;
最後まで読んで下さってありがとうございました!!
 

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