11.17.00:54 [PR] |
09.07.00:04 9/7 あとの祭り |
(お題についての詳細はこちらをご覧下さい)
お題:あとの祭り
・ル次
・ファーコン設定シリアス風味
・馴初め話…かな…
・9/6~は続き物になります!!単発でも読めますがよければそちらからご覧下さい♪
それでもOKでしたら追記へどうぞ
一度放った言葉が取り返しがつかないものだなんて、ガキだって知ってるというのに。あとの祭り。覆水盆に返らず。今更後悔したところでその言葉が取り消せるわけでも、リセットボタンでやり直せるわけでもない。分かりきった摂理。だけどそのときの俺は、どうしてもその言葉を抑えることが出来なかったんだ。
「…お前を相棒にしたの…間違えたかなぁ」
言葉が溢れた瞬間に、時間が止まり空気が凍りつく。
目の前の男の顔がくしゃりと歪む。怒りとか哀しみとか悔しさとか、とにかくそんな負の感情をないまぜにした酷い顔。当たり前だ。俺が放った言葉はそれだけの意味を持ってたのだから。…それを知っていて、俺はその言葉を口にしたのだから。
そんな顔をさせたかったんじゃない。そう思う反面、俺と同じ様に苦しめばいいと思う自分もいた。俺がお前にどんな感情を抱いているのかも知らず、"相棒面して"俺を責めるお前が憎いとさえ思った。
『いつかその帽子を脱がせてみたい』と誘ったその言葉に嘘はない。いや、それが全て真実なのだ。裏も表もない。だがそれを告げたところでなんになる? お前が俺を受け入れてくれることは太陽が西から昇ってくるようになったってありえないだろう。俺はお前を相棒にと誘った昔の俺を呪っていた。近くにいればそれでいいと思っていた。だが近くにいるのに決して自分のものではないという状況が、これほどにも辛いことだとは思わなかった。それこそあとの祭り。
それでもお前を切り捨てることも出来ない中途半端な覚悟しか持ち合わせていない自分が心底憎い。
「…離せよ」
時が止まったかのように俺を睨みつけたままの次元に告げる。自分でも驚くくらいに冷静な声が出た。俺の胸倉を掴んだ手からゆっくりと力が抜ける。
「…ぁあそうか」
男はそれだけ言うとギリリと歯噛みした。悔しいのか、それとも哀しいのか。憤りの奥にある感情は帽子の下に隠れて何もわからない。
あぁ、その帽子を脱いで俺を見て欲しい。俺だけのお前でいて欲しい。そうでないのなら…。
お前なんか、要らない。
「…じゃあ…好きにしろよ」
引き攣った声で押し出すようにして告げると、次元は俺を放り出して部屋を出て行ってしまった。一瞬帽子の下から見えた黒い目が泣きそうに見えたのは俺だけだろうか。
独り残された俺は今更出かける気にもならなくて、壁に背を預けたままずるずると座り込む。
「…ぁーあ…やっぱお前を相棒にしたの…間違えたわ…」
乱れたネクタイを直しながらひとりごちる。
「…俺がどんな気でいるかも知らねぇで…」
傍に置けばこの飢えは収まると思っていた。だが四六時中顔を合わせるようになったからこそ、お前が欲しいと飢えた心は赤く貼れて今にも張り裂けそうなくらいに痛い。理性と本能の渇望。本当のことが言えない。本当のことこそ言ってはいけない。あとの祭り。覆水盆に返らず。後悔するのが嫌だから、自分に言い聞かせて必死にその言葉を飲み込むしかないのだ。
「…次元…俺はお前が…」
お前が欲しいんだ。囁いた言葉は誰にも届くことなく静かな部屋に溶けていった。
モノローグて難しいです…orz 玉砕www
最後まで読んで下さってありがとうございました!!!
- トラックバックURLはこちら