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07.21.01:18 7/19 ただの飾り |
365日のお題【7/19】です。
(お題についての詳細はこちらをご覧下さい)
お題:ただの飾り
・ル次です
・甘々?どっちも子供みたいですが…
OKでしたら追記へどうぞ
「…ルパン、これはなんだ」
日も高くなってきた朝。ねぼすけでようやくお目覚めの相棒が、寝起きが理由だけではないだろうやたらに不機嫌な顔でリビングを覗いた。
「ん? なんのこと?」
次元が何故怒っているのか、何故そんなにも不機嫌なのか、俺にはちゃんと理由が分かっている。でもあえてそらとぼけて、新聞から顔も上げずにそんな風に答えてやれば、次元の声が一層低くなる。
「…これは。俺の首と髪に巻きついてるこれはなんだって聞いてんだよ」
ソファに座る俺にずんずんと音がしそうな勢いで近寄ってきた次元は、俺の手から新聞を取り上げると、眉間に皺のえらい剣幕で自分の首元を指差した。
寝癖のついた黒い髪が首筋にかかってるのがちょっと色っぽいな、なんて一瞬思うが、さすがに本気でキレられそうだから口にはしない。そして次元が指差した先にあるもの、それは。
「これはなんだって聞いてるんだよ」
三度問い詰められ、俺はひょいと肩をすくめた。
「見て分からない? リボンでしょ、リボン」
黒い髪のかかる白い首筋には真っ赤なビロード生地の豪奢なリボン。そして前髪もそして自慢の髭先にまでピンクのリボンが結わえられていた。というか、巻いたのは俺なのだが。
「どういうつもりだ、こんなもの巻いて」
「どうもこうも、いや、似合うかなーって」
悪びれもせずに言えば一際眉間の皺が深くなり、不機嫌を軽く通り越して今にも爆発してしまいそうだ。
「何だと?」
「そんなに怒らないでよ、軽い出来心でしょうが」
「出来心だぁ?」
「そ、ファッションだと思えばいいじゃないの。リボンなんてただの飾りだって、ね? 可愛いよ? 次元ちゃん」
「ふざけんな!」
いよいよ堪忍袋の緒が切れたらしく、次元はそう怒鳴ると乱暴にリボンを解いて俺に投げつける。
「お前がそのつもりなら俺にも考えがあるからな」
捨て台詞のようにそんな言葉を残してリビングを出て行く。
「…なにするつもりでしょうねぇ?」
*
翌朝。
「おはよー次元ちゃん」
「おう」
今日は俺のほうが寝坊だったらしく、起きてみると次元はリビングでコーヒーを飲んでいた。相変わらず少し機嫌が悪いが、考えてみれば昨日は一日ほとんど口をきいてもらえなかったのだ。返事をくれるだけまだマシ、というところだろう。
そんなことを考えながら顔を洗いに洗面所へ向かった俺は、そこで衝撃的なものに出くわすことになった。
「…やられた…」
鏡に映る己の顔には、マジックペンで書かれた無数の落書き。鼻毛だのぐるぐるほっぺだのおでこには肉の文字だの、とにかくありとあらゆる落書きがされていて、二枚目ルパン様は見る影もない。
「俺はここまでひでぇことしてねぇぞ!?」
思わず涙目で叫べば、リビングの方から次元の明るい声が聞こえてきた。
「気にするな、ただの飾りだからな!!」
目には目を、歯には歯を。いや、目には歯を、歯にはドリルをぐらいの勢いかもしれない。
やられたら倍返し!!!
次「俺にちょっかい出すんならそれくらいの覚悟はしてもらわねぇとなぁ?」
ル「ご…ごめんなさい…」
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