11.17.16:46 [PR] |
09.13.00:19 9/12 願掛け |
(お題についての詳細はこちらをご覧下さい)
お題:願掛け
・次+五
・ファーコン設定シリアス風味
・馴初め話…かな…
・ちょっと長め
・徐々にベタな展開に突入してます…←
・9/6~は続き物になります!!単発でも読めなくもないとは思いますがよければそちらからご覧下さい♪
それでもOKでしたら追記へどうぞv
「俺はこの仕事降りるぜ」
その言葉に深い意味も他意もなかった。ただ、こんな心理状況では仕事にならないと思った。ルパンと一緒だというのならなおさらだ。だから降りた。だが、それすらもルパンを死地に追い込む一因となったのだ。自分は一生、自分のことを許さないだろうと思った。
「どうだ、様子は」
控えめなノックの後ドアが開き、五右ェ門が顔を出した。
「あぁ…」
ベッドに横たわる男の顔を覗き込み、小さく溜息をつく。
「まだ意識は戻らねぇよ」
「そうか…」
降りるといったものの、自分が抜けてなお強行に仕事を実行したルパンたちのことは気にかかっていた。だからアジトに残されていた計画書を元に後から追ってみると、まさにそのときルパンが崩れ落ちるのを目の当たりにしたのだ。
『ルパンっ…!!』
凍りつく身体を真っ白になる思考を叱咤して、ルパンたちに向かって小銃を構える男達に銃口を向ける。
『五右ェ門! 不二子! こっちだ急げ!!』
崩れ落ちたルパンを抱えて走る五右ェ門に向かって叫び、男達に向かって無造作に引き金を引く。崩れ落ちた相手の男達の命のことなどひとつも考える余裕などなく、血路を開くためにただひたすらに銃を構えた。
「…おぬしが来てくれて助かった。正直、あのままではやられるのは時間の問題であった」
「いや…最初から俺が行ってりゃこんなことにはならなかったんだ」
唇を噛み、押し出すようにして呟く。そればかりが頭を掠める。そんな思いつめた様子の次元を見やり、五右ェ門は小さく嘆息した。
命に別状はないということだったが、出血が多かったせいかあれから3日経つのにまだ意識が戻らないでいた。横たわった血の気のない白い顔。僅かに上下する胸が、まだ男がこの世の住人であることを知らせていた。
「…拙者は何があったか知らぬ」
次元の横に座り、五右ェ門が重々しく口を開いた。
「ルパンがおぬしに何を言い、おぬしがそれにどう答えたのかも。おぬしの心の中もルパンの心の中も、拙者には分からぬ」
だがな。そこで言葉を切り、俯く次元の顔を覗き込む。
「おぬしはルパンを助けに来た。それが全てではないのか?」
その通りだ。
ルパンの言葉にどんなに心を痛めてもどんなにルパンに拒絶されても、自分はルパンから離れることが出来ない。今度のことでそれをつくづく思い知らされた。
『あなたはルパンの何を知ってるの? 彼が考えてることを一度でも理解しようとしたことがあるの?』
不二子に投げつけられた言葉がずっとぐるぐると頭の中を巡っていた。
何も知らないし、何も理解しようとしていなかった。だから知りたいと思った。この男が自分に何を求めているのか。何を求めてこの自分を傍に置きたかったのか。そして、何を思って自分を拒絶しようとしたのか。全て。
そのためにはもう一度俺に話しをさせてくれ。たとえお前の口から出るのが『お前なんか要らない』という拒絶の言葉であったとしても俺はもう一度お前の声が聞きたいんだ。
「…おぬしらは良く似ておる」
「え?」
呟かれた五右ェ門の言葉に次元はふっと顔を上げた。
「器用そうに見えるが…本当のところは言葉足らずで酷く不器用だ」
「…お前に不器用だなんて言われちゃオシマイだな」
はははと笑って顔を見合わせた。そして、自分がものすごく久しぶりに笑ったことに気付いた。強張った顔は上手く笑い顔を作ってくれなかった。
「参ったな…」
思わずひとりごち、ポケットからいつもの赤い箱を取り出す。咥えたそれに、しかし次元は火を点けようとはしなかった。
「吸わぬのか?」
「あー…これか? これは…まぁ、願掛けみたいなもんだ」
「願掛け?」
「ルパンの奴が目を覚ますまでの…な」
それで五右ェ門は全てを理解したらしい。ふっと笑みを漏らすと椅子から立ち上がり、部屋のドアを開けた。
「…そろそろ昼食にせぬか、もって来る。ここで食べるであろう?」
「あぁ、そうしてくれ」
翻る白い着物の裾を視界の端に見ながら次元は咥えた煙草の端を噛んだ。
いちばん書きたかった話に入ってきて楽しいv←
ええ、ベッタベタが大好きですともwww
もうしばらく趣味の世界にお付き合いくださいませ←
最後まで読んで下さってありがとうございます!!!
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